商業的農業

ヨーロッパなどでは、農畜産物を市場で販売することを中心にした商業的農業が営まれています。

歴史

ヨーロッパの商業的農業は、中世の 三圃 式農業に主な由来をもちます。

中世以来、北西ヨーロッパでは三圃式を、地中海沿岸(イタリア・スペインなど)では二圃式をとってきました。

近代に入ると、北西ヨーロッパでは休閑地をなくすことに成功し、混合農業と呼ばれる形に移行しました。

ところが、19世紀後半に北アメリカから安価な穀物が大量輸入され、北西ヨーロッパ=混合農業、地中海沿岸=二圃式という形では立ちゆかなくなりました。そこで、ヨーロッパでは次のような農業の地域分化を進めました。

混合農業

特色

家畜の飼育と作物栽培が結合した有蓄農業です。
結合とは、例えばドイツ・フランスでは、砂糖の原料やしぼりかすが飼料になる作物 てんさい を栽培するなど、家畜の飼育と作物栽培に密接な関係があるということです。

てんさい(甜菜)
化学肥料や機械の導入で高い土地生産性と高い労働生産性を実現し、農民の生活水準も高くなっています。

地域と代表的作物

ドイツ

作物…ライ麦・じゃがいも・てんさい
家畜…豚

ライ麦

じゃがいも

てんさい(甜菜)

フランス

作物…小麦・ブドウ( シャンパーニュ 地方が有名)
*家畜より上記作物が主体

小麦

ブドウ

イタリア

特に温暖湿潤気候の ポー 川流域

ポー川
作物…トウモロコシ・ 米 
イタリアの稲作…アジアの集約的稲作農業に比べると、高い 労働 生産性

トウモロコシ

酪農

特色

乳牛を飼育し、牛乳・酪製品の生産を目的とする有畜農業です。

冷涼な気候とやせた土壌で、作物栽培に不向きな地域で見られます。

地域ごとの特色

デンマーク

19世紀後半、世界で最初に 協同組合 が組織され、近代的酪農にするための農業教育が普及しました。

オランダ

風車で水をくみ上げ干上がらせた干拓地 ポルダー で酪農を展開しています。

風車

ポルダーでの酪農

スイス

 移牧 と呼ばれる形態をとり、家畜を季節ごとに気象条件の異なる場所に移動させて飼育します。

移牧

園芸農業

特色

都市への出荷を目的として、野菜・果物・花卉・庭木などの栽培を重点的に行う集約的農業です。

肥料・資本・労働力を投下し、1年間に複数の種類の栽培を行うため(多毛作)、高い土地生産性を実現しています。

温室栽培と露地栽培を使い分け、促成栽培による早期出荷、抑制栽培による晩期出荷といったように市場への流通を操作しています。

園芸農業(温室栽培)

近郊と遠郊の違い

近郊

鮮度や輸送上の利便性を重視するなら、都市近郊に発達します。

遠郊

気候・地形・土壌を重視するなら、都市遠郊に発達します(発達せざるを得ません)。遠郊の園芸農業は、輸送機関に支えられています。特に園芸農業において、トラックなどの輸送に依存した方法を トラックファーミング と呼んでいます。

アメリカの フロリダ では、温暖な気候を利用して、このような園芸農業が見られます。

フロリダの園芸農業

地中海式農業

特色

夏に高温乾燥、冬に温暖湿潤な 地中海性 気候(Cs)の条件下で、乾燥に強い家畜や樹木を育て、冬の降雨を利用して 小麦 を栽培します。《⇒復習

小麦と羊

オリーブとコルクガシ

作物と家畜

穀物…冬の降雨を利用した 小麦 
家畜…乾燥に強い 羊 やヤギ(移牧)
樹木…夏の乾燥に強い樹木(オリーブコルクガシ・レモン)

オリーブ油

コルク栓

分布

地中海性気候の地域
Ex)地中海沿岸、 チリ 中部、 ケープタウン