エーゲ海では、オリエントからの影響のもとに、ヨーロッパではじめて青銅器時代に入りました。前1200年頃、この文明が突如破壊されると、以降ギリシア史は暗黒時代に入り、鉄器時代に移行していきました。混乱から逃れようとギリシア人は移住を続けましたが、前8世紀に各地にポリスが登場すると定住を進め、暗黒時代が終わりました。

エーゲ世界

エーゲ文明

前3000年以降、青銅器を利器とする文明が、エーゲ海にいくつか成立しました。
エーゲ文明と総称されるこれらの文明は、次の3つが代表とされます。

エーゲ海

各文明の特徴

クレタ文明

発見者:
イギリス人 エヴァンズ 
中心地:
クレタ島のクノッソス
民族系統:
不明
特徴:
外部勢力への警戒心希薄(外壁なしの宮殿)、海洋民族らしさ(開放的)
文字:
線文字A(未解読)

ミノタウロス伝説

クノッソス宮殿

ミケーネ文明

発見者:
ドイツ人 シュリーマン 
中心地:
ミケーネ・ティリンス・ピュロス
民族系統:
南下したギリシア人
特徴:
戦闘的で高い軍事的関心(巨大な城壁)、小王国の分立、貢納王政(支配者が農民や商人を支配し、徴税を強制する政治形態)
文字:
線文字B(イギリス人ヴェントリスが解読)
シュリーマン
ホメロスの叙事詩の歴史性を信じて発掘に成功
線文字B
線文字Aを改良した文字

黄金のマスク
(アガメムノンのマスク)
ミケーネ文明のギリシア人は、クレタ島に侵入し、トロイアとも抗争しました。
しかし、前1200年頃、「海の民」の侵入なども要因として突然滅亡しました。
以降400年間、ギリシア史は「暗黒時代」という混乱時代を続け、鉄器を利器とする時代へと移行しました。

トロイアの木馬
この間、ギリシア人は定住地を求めて移動し、方言の違いで次の3種に分かれました。

ポリスの成立

ポリスの成立と暗黒時代の終焉

前8世紀、各地の有力者の指導の下、ギリシア人の定住が促されていき、城山 アクロポリス を中心に集住(シノイキスモス)する都市が現れました。
 ポリス というこれらの都市が現れたことで社会が安定し、暗黒時代は終わりました。

アクロポリス

ギリシア人の定住
社会の安定は人口増加・土地不足を招きました。
前8世紀半ば、ギリシア人は従属させた地域の開発を始め、地中海と黒海の沿岸各地に植民市を建設し、交易を活発化させました。
商業活動では、フェニキア文字を基につくったアルファベットを用いました。

代表的な植民市

 ビザンティオン 
ボスフォラス海峡に面して建設された植民市
 マッサリア 南フランスに建設された植民市で、マルセイユの前身
ネアポリス
南イタリアに建設された植民市で、ナポリの前身

独立と同胞意識

各ポリスは独立していて、古代のギリシア人は統一国家をもちませんでした。
しかし、彼らは中部ギリシアの聖地デルフォイでの アポロン 神の神託、4年に1度開かれるオリンピアの祭典を通じて同一民族の意識をもち続けました。
彼らは自分たちをヘレネス(ギリシア人)と呼んだのに対して、異民族を バルバロイ (訳の分からない言葉を話すもの)と呼んで区別しました。

オリンピアの祭典

バルバロイ

ポリスの住民

ポリスの住民は、自由な市民とこれに隷属する奴隷からなりました。
市民には、さらに貴族と平民の区別がありました。
貴族は、高価な武器を身につけ、騎馬で移動する戦士で、国防の主力を担いました。
前7世紀までに、少数の貴族が政治を独占する貴族政が一般的になりました。

ポリスの構造と役割

ポリスは、城壁で囲まれた「市域」と周辺の「田園」から成り立ちました。

市域

 アクロポリス 
市域の中心にあり、城山であると同時に神聖な場
 アゴラ 
アクロポリスのふもとにあり、市場や集会が開かれる公共広場

ポリスの市域

田園

クレーロス
くじで分配された市民の私有地(割り当て地)

ポリスの役割

アリストテレスは、ポリスにおいて仕事を分業して生きる動物が人間であり、その幸福や徳もポリスの生活でのみ実現されると考えました。
そのため、「人間はポリス的動物である」と定義しました。

アリストテレス