第3次産業-交通業・情報通信業

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交通運輸業

交通の発展

人は次の交通機関を発展させ、「時間距離(移動時に体感する距離の長さ)」を短縮してきました。
  • 鉄道交通
  • 自動車交通
  • 水上交通
  • 航空交通

国別輸送量の割合の変化

国別輸送量の割合の変化
主な国 貨物・旅客 輸送量 鉄道(%) 自動車(%) 船(%) 航空(%)
日本 1960年 貨物 1,389億トンキロ 39.2 15 45.8 -
旅客 2,433億人キロ 75.8 22.8 1.1 0.3
2009年 貨物 5,236億トンキロ 3.9 63.9 32 0.2
旅客 13,708億人キロ 28.7 65.6 0.2 5.5
アメリカ 貨物 58,793億トンキロ 38.5 31.4 15 0.4
旅客 77,496億人キロ 0.1 88.1 - 11.7
ドイツ 貨物 4,136億トンキロ 23.1 59.4 13.4 0.2
旅客 10,546億人キロ 9.4 90 - 0.6
イギリス 貨物 2,547億トンキロ 7.4 61.9 26.4 -
旅客 7,895億人キロ 7.9 91 - 1.1
2009年
国ごとの輸送量は、国土や経済活動の規模の違いが特徴にあらわれます。
国土が大きい国
国土が大きく経済活動が盛んな国では、鉄道だけでなく、航空による輸送量も多くなります。
アメリカ・中国は鉄道だけでなく航空による輸送量も多いが、経済の規模で下回る中国では航空による輸送量がやや少ない
旧植民地
植民地支配されていた国では、植民地時代に宗主国が敷いた鉄道の利用が貨物・旅客ともに盛んです(例:インド)。
密林地帯
ブラジルのような密林地帯で鉄道開発が困難な国では、輸送量が極めて少なくなります。

日本

日本では、2009年にかけて鉄道交通が減少、自動車交通が増加しました。
また、島国なので船の利用は自動車に次いで高い地位にあります。

アメリカ

アメリカでは、貨物は鉄道交通と自動車交通、旅客は自動車交通と航空交通がかなりの割合を占めます。

鉄道交通

特徴

長所
  • 大量の旅客・貨物を長距離にわたって、迅速・安全・確実に輸送
  • 高い定時性(定時に到着)
  • 自動車交通に比べて環境負荷が大きい/小さい
短所
  • 山地や勾配など地形的な制約を受けやすく、トンネル・鉄道・新規線路の敷設に莫大な経費が必要

各国の鉄道利用

各国の鉄道輸送量
国名鉄道輸送量(旅客)
(億人㎞)
(2019年)
旅客輸送量(貨物)
(億t.㎞)
(2019年)
中国13,45728,821
フランス1,079318
ドイツ9801,131
インド11,6136,543
日本4,351200
ロシア1,28526,025
イギリス805172
アメリカ32023,641
人㎞は人数とその輸送距離の乗算
t.㎞は貨物のトン数とその輸送距離の乗算
全体
鉄道交通は、自動車の利便性に押され、その利用が先進国を中心に減少・停滞しています。
一方、途上国では鉄道交通が貨物・旅客ともに重要な地位を占めています。
日本
鉄道での旅客輸送は先進国の中でも多い/少ないです。
インド・中国
発展途上国は自動車の普及が余り進んでいません。
鉄道による旅客輸送・貨物輸送がともに多いです。
アメリカ合衆国
旅客輸送は自動車交通・航空交通の利用が多い/少ないです。
大量の農作物・鉱産物を運ぶために、鉄道は貨物輸送での利用が多いです。
ロシア
東西を結ぶシベリア鉄道の利用が多いです。

ロシアの鉄道利用

20世紀初頭に開通したシベリア鉄道は、モスクワ・ウラジオストク間(全長9300㎞)を結びます。
ウラジオストク
海軍基地として建設された歴史をもち、シベリア鉄道と日本海との結節点として商工業や物流の拠点
シベリア鉄道

ヨーロッパの鉄道利用

高速鉄道・国際鉄道
近年、大都市間の旅客輸送に新幹線などの高速鉄道が導入され、鉄道交通の利用量をあげています。
フランスのTGV、ドイツのICE、ロンドン・パリ間のユーロスターが有名です。
NIEsや中国でも高速鉄道を導入
LRT
新型路面電車(LRT)は、低床式の路面電車で、高齢者が乗降しやすく、停留所の区間も短くて利用しやすい乗り物です。
市街地に導入する例が増え、ドイツのフライブルクやフランスのストラスブールが有名です。
両都市は歴史的な街並みを残し、自動車で郊外から都心部に移動する際には、途中でLRTやバスに乗り換えるパークアンドライドに取り組んでいます。
LRT
段差がなく、走行時の騒音や振動が少ないことも特徴
ストラスブール
フランス東部のアルザス地方の中心地で、ドイツとの国境沿いに位置し、同地方・ロレーヌ地方で産出する石炭・鉄鉱石をめぐって両国が過去に幾度も対立
ヨーロッパの平和の実現を目指し、欧州議会の本会場を設置
ストラスブールのLRT
富山市のLRT

環境に優しい鉄道交通

鉄道交通は、自動車交通に比べて大気汚染を招かず、エネルギーの消費効率も良いです。
鉄道の利用推進のため、駅付近の駐車場に停めて都心までは鉄道交通を移動するパークアンドライドが推奨されています。
パークアンドライド

自動車交通

特徴

長所
  • 鉄道のような時間・経路の縛りがない(任意性が高い)
  • 戸口輸送(目的地まで直接届くこと)が可能
短所
  • 輸送量が少ない
  • 燃料で大気汚染を起こしやすい
  • 交通事故や交通渋滞を起こす

近年の自動車利用

経済発展に伴い、自動車が生活必需品化する現象を、モータリゼーション(車社会化)と言います。
この結果、駐車場の設置や高速道路の整備が必要になりました。
駐車場の設置に対応できない商店街の専門店は衰退し、広い駐車場を完備した幹線道路沿い(ロードサイド)の総合スーパー(大型小売店)が消費者を集めるようになりました。
自転車保有台数の変化
自動車保有台数
国名千台(2021年)千台(1980年)千台(1990年)千台(2000年)千台(2010年)千台(2020年)
四輪車76,68037,06756,49170,89873,85976,703
乗用車62,16423,66034,92452,43758,34762,194
うち軽四輪車22,9882,1762,5859,90117,98722,858
トラック14,29813,17721,32118,22615,28514,283
バス218230246235227225
総合スーパー
シャッター商店街

環境への配慮

自動車交通は、鉄道に比べて環境負荷が大きい/小さいです。
それゆえに自動車交通の利用は、交通渋滞・大気汚染の問題を考える必要があります。
具体的な取り組みとしては、次の2つがあります。
  • パークアンドライド
    都心部への移動に公共交通機関の利用を促し(付近の駅・バス停まで自動車で行って乗り換える)、自動車通行を抑制する取り組み
  • ロードプライシング
    都心部へ乗り入れる自動車に課金し、都心部の交通渋滞を緩和する取り組み
パークアンドライド
ロードプライシング
上記2つのほか、近年、道路の拡幅やラウンドアバウトなどの取り組みがあります。
ほかにも、トラックなどの自動車交通による輸送を、環境負荷の小さい鉄道交通・水上交通に変換していくモーダルシフトという動きが、先進国を中心に起きています。

航空交通

特徴

長所
  • 最も迅速に貨物輸送が可能で、地形や水陸分布による制約がなし
短所
  • 気象による制約が大きく、発着は空港に限定
  • コストが高く、重量のある貨物には不適

歴史と利用

航空機の当初の利用は主に軍事目的であり、一般利用は1970年代からです。
航空交通は、冷戦などを理由に、航路が制限されます。
例えば、日本と西ヨーロッパを結ぶ最短航路はシベリア上空を通過する航路ですが、冷戦中はアメリカ合衆国アラスカ州を経由して飛行していました。
現在の航空交通は、先進国からなるヨーロッパと北アメリカを結ぶ路線が中心です。
人や軽量・小型・高付加価値のIC(集積回路)などが航空機で運ばれています。

利便性の向上

国際・国内の航空路線が集まる空港(ハブ空港)を建設しています。
ハブ空港
シャルル=ド=ゴール空港(フランス)

貨物輸送

航空機の貨物輸送は、輸送費が高くなります。
しかし、小型軽量で高価格な製品の輸送では、利益が十分に見込めるため最適です。
例えば、IC(集積回路)、医薬品、生鮮食品が該当します。

水上交通(海上・内陸水路)

特徴

長所
  • 安価で大量に重量のある貨物を運搬可能
短所
  • 速度が遅いため、運搬に時間がかかる
  • 水路のある場所に利用が限られ、自然の制約も大きい

世界貿易の中心

船舶による輸送は、速度が遅いが、大量に安価に運べます。
鉄鉱石・石炭・石油などの資源、鉄鋼・木材などの素材は重量が重く、船舶で運ぶことが最も良い方法です。
船舶による輸送は、世界貿易の中心となっています。

海上輸送

専用化・大型化
近年、専用の箱で鉄道・トラックにそのまま積み替えられるコンテナ船、オイルタンカーやバルクキャリア(ばら積み貨物船)などの専用船が利用され、また船自体の大型化が進んでいます。
オイルタンカー
オイルタンカー
LNG船
LNG(液化天然ガス:liquefied natural gas)を運搬する船です。
LNG船
バルクキャリア(ばら積み貨物船)
鉱産物・木材チップなどを箱詰めせずに運ぶ船です。
ばら積み貨物
包装されない状態の大量の貨物
バルクキャリア(ばら積み貨物船)
バルクキャリアにくず鉄を積む
コンテナ船
鉄道・トラックにそのまま積み替えられる大型の箱(コンテナ)を運搬する船です。
コンテナ船は海上輸送の主役で、近年、ヨーロッパ/北米/アジアで取扱いが多くなっています。
コンテナ船
主な港のコンテナ取扱量(2017年、万TEU)
港名国名2017年
シャンハイ(上海)中国4,023
シンガポールシンガポール3,367
シェンチェン(深圳)中国2,521
ニンポー(寧波)中国2,461
ホンコン(香港)中国2,077
プサン(釜山)韓国2,047
コワンチョウ(広州)中国2,037
チンタオ(青島)中国1,830
ロサンゼルスアメリカ1,689
ドバイアラブ首長国連邦1,544
テンチン(天津)中国1,507
ロッテルダムオランダ1,373
TEU
20フィートのコンテナに換算したコンテナ数の単位

海峡・運河による距離の短縮

船舶の遅い速度を補うため、海峡や人工的な水路(運河)を利用し、船舶の移動距離を減らしています。
代表的な海峡・運河
海峡
マレー半島とスマトラ島の間に位置するマラッカ海峡は、世界で最も船舶が往来する海峡です。
運河
エジプトのスエズ運河や、太平洋とカリブ海を結ぶパナマ運河などの国際運河が建設されました。
例えば、スエズ運河は、ロンドン・シンガポール間の船舶の移動日数を、40日短縮しました。
内陸水路輸送
内陸水路輸送は、平野が広がり、河川勾配が小さい河川で利用されます。
日本は河川勾配が大きく、季節による水量の変化が大きいため適しません。
ヨーロッパは平野が広がり、西岸海洋性気候で河川の流量が安定するため、古くからライン川やドナウ川などの国際河川や内陸水路が発達しました。
河川の勾配

便宜置籍船

便宜置籍船は、船の登録税や取得税などの税金の安い国に船の籍を置いたものです。
この理由で、パナマやリベリアが世界の1・2位の商船保有国になっています。

情報通信業

時差

航空交通で人やものが国々を行き交い、情報通信技術で他国とのやり取りがあり、時差を意識する場面も増えてきました。

通信メディア

各国の通信メディア
国名100人あたり固定電話契約数
(件)
(2020年)
100人あたり移動電話契約数
(件)
(2020年)
インターネット利用者数
(万人)
(2014年)
インターネット利用者率
(%)
(2020年)
ブラジル14.496.811,63781.3
中国12.6119.468,71470.4
フランス57.8111.55,41484.8
ドイツ45.7128.27,12489.8
インド1.583.622,81343
日本49154.211,50490.2
韓国46.5137.54,17596.5
マレーシア23.1135.119,29489.6
タイ7.2166.618,52177.8
イギリス47.2116.45,81694.8
アメリカ30.7106.228,18190.9
タイ・マレーシアのインターネット利用者数の2012年のもの

固定電話

固定電話は、個々の電話機が回線でつながった有線電話です。
大学入試に関して言えば、携帯電話以外の電話と考えればよいです。
固定電話の歴史は古いため、先進国でよく普及しています。
回線の敷設には多額の費用が必要で、途上国では普及していません。
固定電話
固定電話契約数(100人あたり)
日本 タイ 韓国 アメリカ 中国
49.9 4.2 50.6 33.6 13.5
2018年

移動電話(携帯電話)

移動電話は、いわゆる携帯電話のことで、基地局と個々の電話機を無線通信で結びます。
携帯電話は、自動車に搭載される形で実用化が進みました。
この自動車電話の時代から、フィンランドなど経済的に豊かで冬季に凍結や積雪で自動車が立往生する北欧諸国では、非常時に外部との連絡をとる手段として普及しました。
携帯電話は、のちに小型・軽量化が進み、1990年代に急速に普及しました。
携帯電話は、その利便性だけでなく、アンテナの敷設による基地局建設のみで済むため、固定電話の回線の敷設よりもコストを安く抑えられます。
これらの理由から、人口密度が低い国や発展途上国で急速に普及が進んでいます。
携帯電話
移動電話契約数(100人あたり)
日本 タイ 韓国 アメリカ 中国
141.4 180.2 129.7 120.9 115.5
2018年

インターネット

インターネットは、コンピュータを電話回線・衛星回線などで相互に接続する、元々軍事目的で開発された通信媒体です。
インターネットは、インフラの整備が進んだ先進国で電話回線を利用する形で普及したため、インターネットの利用者率は先進国で高くなります。
また、発展途上国はコンピュータの保有者が少ないため、インターネットの利用者率が低くなります。
中国は、先進国と比較するとインターネット利用者率が低いですが、人口が多いため利用者数は世界1位です。
インターネット
*画像は光回線終端装置とルーター
インターネット契約数・使用者率
日本 タイ 韓国 アメリカ 中国
インターネット契約数
(1000件)
41,495 9,189 21,286 110,568 407,382
インターネット利用者率
(%)
91.3 56.8 96.0 87.3 54.3
2018年
海底ケーブルの敷設
インターネットは、高速で大量の情報を送受信できる海底ケーブルを用いて世界中をつないでいます。
ただし、砂漠や極地のみ、人工衛星による通信で接続しています。

北欧の事情

固定電話

北欧など寒冷な地域では、屋外に出ずに情報を得る必要があるため、固定電話の普及率が高くなります。

移動電話

北欧諸国は経済的に豊かで、冬季に凍結や積雪で自動車が立ち往生した場合に連絡ができるように、移動電話が早くに普及しました。
NOKIA3310
代表的なNokiaの携帯電話(Nokia 3310)
Nokiaはフィンランドの通信機器メーカー。携帯電話の市場を席巻で、「北欧の巨人」と呼ばれたほど。スマホ市場に出遅れて一時停滞。
各国の通信メディア
国名インターネット利用者率
(%)
(2020年)
1人当たりGNI(名目値)
(ドル)
(2020年)
ブラジル81.37,850
中国70.410,610
フランス84.839,400
ドイツ89.847,060
インド431,900
日本90.240,540
韓国96.532,860
マレーシア89.610,580
タイ77.87,050
イギリス94.838,950
アメリカ90.964,530
タイ・マレーシアのインターネット利用者数の2012年のもの