概要
江戸幕府は、莫大な直轄領「幕領」からの年貢や鉱山収入に支えられ、直参などの圧倒的軍事力で支配をおこないました。3代将軍徳川家光の頃までに幕府の職制が整えられ、その職制は鎌倉幕府・室町幕府とは比べられないほど細かいものでした。月番交代による交代制や監察・監視の担う役職の設置は、徹底した相互管理を可能にしました。
江戸幕府の機構
幕府の財源と権限
江戸幕府の財源は、主に次の①~③でした。
- 400万石の直轄領幕領からの年貢(旗本領を合わせると全国の総石高の1/4
)
- 鉱山(伊豆・佐渡・但馬生野・石見大森)からの収入
- 直轄都市(江戸・京都・大坂・長崎・堺)からの取立金
江戸城(江戸時代初期)
幕府は、商工業・貿易を統制し、貨幣の鋳造権を握りました。
1601年、初の全国統一貨幣慶長金銀(金貨・銀貨の総称)を鋳造しました。
慶長小判
慶長丁銀
幕府の軍事力
幕府の職制
幕府の職制は、次の原則の下、3代将軍徳川家光の頃までに整えられました。
- 役職には数名の譜代が就き、月番交代で政務を担当
- 役職をまたがる事項は、評定所で老中・三奉行が合議・裁決
中央組織
老中
初期は年寄と呼ばれ、幕政を統括
大老
常置ではない最高職で、重要事項の決定時のみ合議に参加
三奉行
- 寺社奉行
譜代大名が任命され、寺社行政を担当
- 町奉行
旗本が任命され、江戸の町人地の司法・警察権を管轄
- 勘定奉行
旗本が任命され、幕領の税徴収と幕府財政の運営
地方組織
遠国奉行
重要都市(京都・伏見・大坂・駿府)に城代・町奉行が、長崎・佐渡・日光などに奉行が置かれ、行政など担当
郡代
関東・飛騨・美濃の幕領に置かれ、その他の幕領には代官を派遣
江戸幕府の職制