繊維工業
立地
一般衣類の生産
多くて安い労働力が必要で、アジアの先進国/発展途上国が生産の中心です。
海外移転の例
例えばユニクロは、当初日本国内に生産拠点を置いていました。
次第に工場の海外移転が進み、2000年代初めには中国が生産拠点になりました。
やがて2010年代後半にはベトナムが生産拠点になりました。
高級衣類の生産
ブランド品やファッション性のある衣服は、先進国/発展途上国で生産されます。
ファッション性の求められる衣類の企画・開発
ファッション性の求められる衣類の企画・開発は、流行をつかむために、先進国の大都市でおこなわれます。
金属工業
アルミニウム工業
立地
アルミニウムの生産は、大量の電力が必要です。
そのため電気代が安い国が生産の中心です。
アルミニウムの生産
国名 | 万t(2020年) |
---|
中国 | 3,708 |
ロシア | 386 |
インド | 347 |
カナダ | 311 |
アラブ首長国連邦 | 251 |
オーストラリア | 159 |
バーレーン | 155 |
ノルウェー | 143 |
主な生産国は、石炭/石油/天然ガスによる火力発電が盛んなオーストラリア・中国・インド、火力/水力/風力/地熱/バイオマス中心の発電をおこなうノルウェー・カナダ・ブラジルが該当します。
鉄鋼業
立地
鉄鋼業の立地は、歴史の中で変化してきました。
鉄鋼業の立地移動
例えば、イギリスとフランスの鉄鋼業は、原料指向型から臨海指向型に変化しています。
イギリスの鉄鋼業
フランスの鉄鋼業
ロシアの1991年までのデータは旧ソ連のもの
ドイツの1990年までのデータは東ドイツ含む
機械工業
自動車工業
立地
自動車工業は、多数の部品工場で作られたものを組立工場で製品化します。
工場が集まって立地することで、設備の共同利用や輸送コストの削減ができます。
このような工場の立地を集積指向型と呼びます。
自動車工場の集積
生産台数
自動車の生産台数は、経済の歴史と強く関連します。
日本の自動車の歩み
戦後、日本はアメリカに対する自動車や電気機器の輸出を伸ばしていきました(貿易黒字)。
一方、安価な日本産に押され、アメリカの日本への輸出は少なくなりました(貿易赤字)。
1980年代、日米間の貿易収支の不均衡は、国家間の対立貿易摩擦を起こしました。
貿易摩擦
1990年代、日本は「日本の輸出=相手国の生産圧迫」という貿易摩擦の根本的問題を回避するため、アメリカに工場を建設して現地生産するようにしました。
貿易摩擦の解消
2000年代、日本はアジアでの現地生産も増やしました(国内生産の減少)。
現地生産が増える一方、いわゆる「産業の空洞化」が目立つようになりました。
造船業
造船業は、中国・韓国・日本がほぼ占めています。
日本の造船業
広島や長崎が造船竣工量の上位です。
航空機工業
航空機は、先端技術が集約した部品を組み立てた製品です。
軍事面での利用もあり、歴史のなかで軍需産業と強く結びついて発達してきました。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国での航空機工業は、シアトルやロサンゼルスなど太平洋側に立地します。
特にシアトルでは、昔の航空機の材料である木材が得られ、また、コロンビア川の水力発電でアルミニウムを精錬できたために発達しました。
また、一説によれば太平洋戦争での利用から太平洋側で発達したとも言われています。
アメリカ合衆国の航空機工業
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、ドイツ・フランス・イギリスなどの国々が分業で部品を製造し、航空機を生産しています。
最終的な航空機の組み立ては、フランスのトゥールーズでおこなわれています。
フランスのトゥールーズ
電気機械工業
立地
電気機械工業は、安価で大量に生産される製品ほど、豊富な労働力を求めて先進国/先進国以外の地域に立地する傾向があります。
その他
先端技術産業
立地
研究・開発
研究・開発の拠点は、大学や研究機関が集まる大都市に立地します。
生産
製品の生産をおこなう工場は、空港付近や高速道路付近に立地します。
石油化学工業
立地
石油化学や石油精製部門は、原料となる石油の輸送に便利な臨海部に立地する傾向が強いです。
ただし、これは原油をオイルタンカーで直接輸入する国の話であり、ヨーロッパの内陸国は、ユーロポート(オランダのロッテルダムの港)で精製された石油をパイプラインで輸送してもらっています。
パイプラインで結ばれれば、内陸部でも石油化学工業は発達します。
パルプ工業・製紙業
パルプ工業
パルプ工業は原料指向型のため、木材の豊富な国で発達します。
パルプ
木材から繊維のみ取り出したチップで、これを加工して紙を製造
パルプ
パルプの生産
国名 | 万t(2020年) |
---|
アメリカ | 4,990 |
ブラジル | 2,102 |
中国 | 1,791 |
カナダ | 1,484 |
スウェーデン | 1,157 |
フィンランド | 1,012 |
ロシア | 887 |
インドネシア | 819 |
日本 | 707 |
製紙業
紙の消費量が多い国が生産の上位です。