亜寒帯
気候区
気候帯が寒帯(E)・乾燥帯(B)のどちらでもない場合、最寒月平均気温が-3℃未満、かつ最暖月平均気温が10℃以上なら亜寒帯(D)になります。
亜寒帯(D)は、ここから2つの気候区に分かれます。
降水型がfならDf、wならDwです。
Df(亜寒帯湿潤気候)
亜寒帯湿潤気候の分布
特色・成因
北半球のみに分布する気候です。
夏は地軸の傾きで日照時間が長く、冬は時期が長く寒さも厳しくなります。また、高緯度のため気温の年較差は大きくなります。
高緯度低圧(亜寒帯低圧)帯の影響で、年中降雨が見られます。
植生
高緯度側
気候区が分布する地域のうち、高緯度側にはエゾマツ・トドマツなどの針葉樹が分布します。
特に針葉樹の純林をタイガと言います。
タイガ
低緯度側
気候区が分布する地域のうち、低緯度側には針葉樹と落葉樹の混合林(混交林)が分布します。
土壌
高緯度側
寒冷な高緯度の地域の地表下には、土壌のすきまの水分が凍結し、岩石のように固化した状態の土壌永久凍土が広がっています。
露頭した永久凍土
*図中白い部分
永久凍土の分布
タイガが分布する地域では、夏に地表近くの永久凍土が溶け、ここに別の土壌が形成されます。
針葉樹の落ち葉・枯れ枝が、低い気温・高い湿度で分解されにくく、酸性の有機物の層を蓄積します。
また、低い気温・高い湿度で蒸発量が少なく、降水後に多くの水が土中のカルシウムなどとともに下方に流れます。
これにより、タイガの地表には酸性で灰白色の土壌ポドゾルが分布します。
ポドゾル
ポドゾルと永久凍土の関係
近年、タイガの伐採が進行し、伐採跡地直射日光が当たるようになりました。
結果、凍土の一部が融解し、タイガ地帯が湿地や沼地に変わってしまう問題が起きています。
タイガの伐採後
低緯度側
比較的寒さが弱い低緯度側では、褐色森林土が分布します。
生活
農業
大豆などの穀物や寒さに強い大麦・ジャガイモが栽培されます。
他にも酪農・林業(製材・パルプ)も発達しています。
住居
永久凍土上の建物は、暖房器具の熱が地面に伝わると、凍土が溶けて倒壊の恐れがあるので、高床式にしています。
イルクーツクの建物
シベリアの高床住居
分布・都市
亜寒帯湿潤気候の主要都市
代表都市の雨温図・ハイサーグラフ
雨温図(モスクワ)
ハイサーグラフ(モスクワ)
Dw(亜寒帯冬季少雨気候)
亜寒帯冬季少雨気候の分布
特色・成因
Df(亜寒帯湿潤気候)と気温・降水量以外に、ほとんど違いがありません。
夏は地軸の傾きで日照時間が長く、冬は時期が長く寒さも厳しくなります。
また、高緯度のため気温の年較差は大きくなります。
夏は高緯度低圧帯の影響で降雨が見られますが、冬はシベリア高気圧の影響で少雨となります。
シベリア東部では、極高圧帯から流れ出た冷たい空気が南部の高い山脈でせき止められます。
比熱の低い大陸内部は冷えやすいため、冬に向かって気温も低くなります。
冷たい空気は重いため地表付近にたまり、そうして形成されたのがシベリア高気圧です。
シベリア高気圧
土壌
高緯度側
気候区が分布する地域のうち、高緯度側では、酸性で灰白色の土壌ポドゾルが分布します。
ポドゾルの下部には、土壌のすきまの水分が凍結し、岩石のように固化した状態の土壌永久凍土が広がっています。
低緯度側
気候区が分布する地域のうち、低緯度側には
褐色森林土が分布します。
生活
農業
寒冷な場所では寒さに強い大麦・ジャガイモが栽培されます。
他にも酪農・林業(製材・パルプ)も見られます。
住居
永久凍土上の建物は、暖房器具の熱が地面に伝わると、凍土が溶けて倒壊の恐れがあるので、高床式にしています。
寒極
寒極とは、北半球・南半球それぞれで最低気温が観測された地点のことです。
北半球の寒極はユーラシア大陸東部のオイミャコンで、1933年に-67.8℃が観測されました。
この地は、北極圏に近くて冬季の日照時間が短く、盆地で冷気がとどまるために気温が低くなります。
寒さが厳しいオイミャコンですが、生活している人々がいます。
同地で1926年に観測された-71.2℃という記録は正確性に疑いあり
-67.7℃という数値も散見するが、世界気象機関のデータに準拠
2020年、世界気象機関が北半球の観測史上最低気温をグリーンランドの-69.6℃と発表
南半球の寒極はロシアのヴォストーク基地で-89.2℃
最低気温観測のレリーフ
分布・都市
亜寒帯冬季少雨気候の主要都市
代表都市の雨温図・ハイサーグラフ
雨温図(イルクーツク)
ハイサーグラフ(イルクーツク)