大地形
3つの区分
地球上の陸地は、46億年前に地球が誕生して以来、プレートの動きなどによる大規模な変動を受けてきました。
これら陸地は、どの時期を最後に大規模な変動を受けていないかで、次の3つに区分されます。
- 安定陸塊
先カンブリア時代(地球誕生~約5億4100万年前)を最後に大規模な変動を受けていない陸地
- 古期造山帯
古生代(約5億4100万年前~2億5200万年前)を最後に大規模な変動を受けていない陸地
- 新期造山帯
中生代以降(2億5200万年前~)に変動を受けた陸地
造山運動
安定陸塊
長い年月、大規模な変動を受けていないため、侵食が非常に進んで平坦な土地が広がります。
資源の産地としては、鉄山/炭田/油田が分布します。
侵食が進み、鉄鉱石の採掘が容易で採算性が高いため
安定陸塊の分布
安定陸塊は地層の状態でさらに楯状地と卓状地に分類されます。
楯状地と卓状地
楯状地
安定陸塊のうち、先カンブリア時代の地層が露出している地域を楯状地(≒準平原)と呼びます。
この呼称は、地形が横から見ると中央から海に向かって傾斜をとり、西洋の楯を伏せた形に見えるからです。
楯状地
楯状地の由来
高緯度のハドソン湾周辺やバルト海周辺は、氷河によって地表が削られたため、楯状地が目立ちます。
特に世界最大の規模をもち、カナダの総面積の約半分を占めるカナダ楯状地は、20億年以上の侵食をうけ、山地はほとんどありません。
巨大地震も少なく安定していますが、技術革新が起こるまで不毛な土地とされていました。
カナダ楯状地
楯状地のなかには、硬い地層で侵食から取り残された場所が見られ、残丘(モナドノック)と呼びます。
残丘の代表例は、オーストラリアのウルルが有名です。
残丘
ウルル
*アボリジニ―による呼称
卓状地
安定陸塊のうち、先カンブリア時代の地層の上に、別の地層が堆積する地域を卓状地(≒構造平原)と呼びます。
これは、陸地が古生代・中生代に海面下に沈降し、先カンブリア時代の地層の上に、ほぼ水平に土砂が堆積したからです。
卓状地
東ヨーロッパ平原
卓状地のなかには、硬い地層で侵食から取り残された場所が見られ、ほぼ垂直に残った地形をビュート、台地状の地形をメサと呼びます。
メサとビュート
コロラド高原のモニュメントバレー
*写真中にメサとビュート
ケスタ
卓状地のなかで、軟層・硬層の地層が交互に緩傾斜をなしているとき、軟層部分が速く侵食されて、硬層部分が取り残されます。
このようにして形成される非対称の断面をもつ丘陵をケスタと呼びます。
ケスタ
代表的なケスタは、フランスのパリ盆地(シャンパーニュ地方)です。
崖部分の水はけ、日照に対しての適度な傾斜を利用して、ブドウを栽培しています。
傾斜面の日照
シャンパーニュ地方(パリ盆地東部)
古期造山帯
安定陸塊に比べると短いですが、長い年月の侵食で起伏の緩やかな山地が広がります。
資源の産地としては、鉄山/炭田/油田が分布します。
古期造山帯の分布
平均標高900mほど
グレートディバイディング山脈
平均高度1000m前後
ウラル山脈
代表的な古期造山帯の山脈
代表的な古期造山帯の山脈
- スカンディナヴィア山脈
- ウラル山脈
- テンシャン山脈
- ドラケンスバーグ山脈
- グレートディバイディング山脈
- アパラチア山脈
ウラル山脈の断面図
古期造山帯の山脈は、断面図を見るとその緩やかさがわかります。
ウラル山脈の断面図の始点と終点
*地理院地図で作成
ウラル山脈の断面図
*地理院地図で作成
古期造山帯だけど険しい山脈
テンシャン山脈は、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突したことで再隆起し、古期造山帯の他の山脈より起伏が大きい山脈です(平均標高3500~5000m)。
インド亜大陸の北上
新期造山帯
大規模な変動をうけてから年月が短く、起伏の大きい(標高の高い)山地が広がります。
資源の産地としては、鉄山/炭田/油田が分布します。
例:環太平洋造山帯、アルプス=ヒマラヤ造山帯
新期造山帯の分布
大規模な変動をうけた後、陸地は次の2つの力で様々な地形を形成します。
これらの地形(火山など)は、形成されてからの年月が短い新期造山帯でよく見られます。
地震・火山との関係
新期造山帯は、地震と火山活動の分布と重なります。
対して安定陸塊・古期造山帯は、地震と火山活動が少ないです。
主な地震の分布
主な火山活動の分布
プレート・境界・造山運動の分布まとめ
主要なプレート
プレートの境界
造山運動