熱帯林破壊
要因
- 焼畑農業の拡大
- プランテーション農園や牧場の開発
- 薪炭材(燃料用木材)の過伐採
- マングローブ林の伐採(エビ養殖場の開発)
マングローブ
熱帯・亜熱帯の海岸・河口の汽水域となる地域に広く分布する植物
焼畑農業
マングローブ林
影響
- 熱帯の多雨で土壌侵食や土壌流出
- 森林の保水効果焼失で土砂崩れや洪水
- 生態系の破壊
- 森林による二酸化炭素の吸収力減退
地球規模の問題である地球温暖化にも関係
対策
林業(果実のなる樹木などを多様に植樹)と農業(樹木の間で作物を栽培)の組合せである、アグロフォレストリーが取り組まれています。
企業によるアグロフォレストリーの一環
砂漠化
人為的な要因による砂漠
多くの砂漠は、地形・気候・海流などを要因として形成されています。
なかには人為的な要因が大きい砂漠もあり、乾燥地域周辺のステップ(短草草原)地帯で生じています。
この地帯では、緑があった土地が徐々に砂漠になっていく砂漠化が進み、砂漠が拡大しています。
特にサハラ砂漠南縁のサヘルでは、深刻な砂漠化が生じています。
サヘル
サヘル
「全国地球温暖化防止活動推進センターホームページより
(http://www.jccca.org/)」
要因
- 気候変動による降雨の現象
- 過耕作
- 過放牧
- 薪炭材の過伐採
- 過灌漑による塩害(地表面に塩類の集積)
大気汚染・酸性雨
大気汚染
近年、PM2.5と呼ばれる直径2.5μm以下の微粒子状の大気汚染物質が注目されています。
中国広州の大気汚染
酸性雨
水素イオン濃度(pH)がpH5.6以下の雨を酸性雨と言います。
要因
工場、自動車、火力発電所などで使用した化石燃料が主な原因です。
燃焼の際に発生した硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)は、空を曇らせたり、大気中で亜硫酸や硝酸に変化して酸性雨になります。
ほかにも、硫黄酸化物や窒素酸化物は、紫外線と反応して光化学スモッグを発生させます。
光化学スモッグで霞む景色(メキシコシティ)
影響
大気汚染は人の健康を害します。
また、酸性雨は森林の枯死、湖の酸性化による魚の死滅、歴史的建造物や石像の腐食をもたらします。
大気汚染のうち、森林の枯死では、ドイツ南西側のシュヴァルツバルトの被害が有名です。
酸性雨で枯れた木々
酸性雨で黒ずんだ鎌倉大仏
死んでいく魚
大気汚染は、以前はヨーロッパ・北アメリカ・日本など先進国の周辺に限られていました。
近年は中国・インドなど発展途上国でも深刻化しています。
大気汚染で厄介なことは、偏西風の影響で東側の地域にも被害をもたらすことです。
これを越境汚染と言い、大気汚染は国内被害で留まりません。
対策
- 湖や森林に中和のための石灰を散布
- 硫黄酸化物や窒素酸化物の排ガス処理装置の設置
- ハイブリッドカー、電気自動車の利用
- 1979年、ジュネーヴ(長距離越境大気汚染)条約の締結
オゾン層破壊
オゾン層
オゾン層は、地表から10~50㎞の上空にある気体の層で、太陽からの有害な紫外線を吸収します。
南極の上空には、オゾン層が薄くなり、穴(ホール)のように見える場所があります。
近年、このオゾンホールの拡大が観測されています(オゾン層の破壊)。
オゾン層の破壊
南極のオゾンホール
要因
スプレーの噴射剤、冷蔵庫、エアコンで使用されるフロンが、オゾン層を破壊します。
影響
有害な紫外線の量が増加し、皮膚ガンや白内障など健康被害に繋がります。
対策
地球温暖化
地球温暖化
長い歴史のなかで地球の平均気温は変動を続けてきました。
1980年以降は地球の平均気温が急激に上昇しており(地球温暖化)、21世紀末には最高6℃以上上昇すると予測されています。
地球温暖化
要因
二酸化炭素・メタン・フロンなどの温室効果ガスが原因と言われています。
温室効果ガス
影響
高潮で冠水道路(マーシャル諸島)
「全国地球温暖化防止活動推進センターホームページより
(http://www.jccca.org/)」
高潮で冠水道路(マーシャル諸島)
「全国地球温暖化防止活動推進センターホームページより
(http://www.jccca.org/)」
対策
その他の環境問題に対する取り組み
条約・会議
1971年、ラムサール(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する)条約採択
ラムサール条約のロゴ
クッチャロ湖の水鳥
1972年、第1回国連人間環境会議(開催地:
ストックホルム)
「かけがえのない地球(only one earth)」のスローガンのもとに開かれ、人間環境宣言を採択
1972年、国連環境計画(略称:UNEP、本部:ナイロビ)設立
1973年、ワシントン(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する)条約採択
ワシントン条約
附属書I掲載種の例
「政府広報オンラインより」
1989年、バーゼル(有害廃棄物の越境移動及びその処分の規制に関する)条約採択
1992年、国連環境開発会議(別称:地球サミット、開催地:
リオデジャネイロ)
「持続可能な開発」を理念にリオ宣言、気候変動枠組条約採択
2002年、環境開発サミット(開催地:ヨハネスバーグ)
日本の環境問題
公害
公害とは、経済的利益を追求した活動で生じる人の健康被害や自然環境の破壊を指します。
初の公害事件
足尾銅山鉱毒事件(場所:栃木県渡良瀬川中下流域)
1895年頃の足尾銅山
四大公害病
企業が利益を優先して環境への配慮を怠ったため、次のような公害が発生しました。
- 水俣病(場所:熊本県、原因:有機水銀)
- 四日市ぜんそく(場所:三重県、原因:亜硫酸ガス)
- イタイイタイ病(場所:富山県、原因:カドミウム)
- 新潟水俣(場所:新潟県、原因:有機水銀)
上記の4つの公害は、いずれも原告側が勝利しています。
公害からの配慮見直し
1967年、公害対策基本法
1993年、環境基本法
これら法では、次の7つが「公害」として定義されています。
- 大気汚染
- 水質汚濁
- 土壌汚染
- 地盤沈下
- 騒音
- 震動
- 悪臭
その他の問題
産業廃棄物の問題
産業廃棄物の処分が有料化したことで不法投棄問題が発生しました。
処分を減らし問題をなくすため、循環型社会の実現が目指されています。
そのためのキーワードとなるのが3Rと総称される「Reduca(削減)・Reuse(再利用)・Recycle(再生利用)」です。
環境ホルモン(内分泌攪乱化学物質)の問題
工業製品、農薬、殺虫剤、プラスチック製品などに含まれる化学物質で、特に体内の正常な働きをするホルモンの働きを破壊し、例えば生殖器の異常などを引き起こすものを環境ホルモンと言います。
ダイオキシン汚染
ダイオキシンは、農薬の製造や塩化プラスチック系の物質の燃焼で発生する化合物です。
発癌性などの毒性が高く、環境汚染による健康や生態系への被害が懸念されています。
環境保護の取り組み
運動・場所
ナショナルトラストの例(湖水地方)
ジオパークの例(箱根)