日本の自然環境

表記について

国土

地理的な位置

日本列島の地理的な位置は、次の3点で把握しましょう。
日本の位置
日本の地理的な位置(北緯・東経)
日本列島とほぼ同じ北緯40度(日本の秋田県・岩手県)には、アメリカのニューヨーク~イベリア半島~トルコ~中国北京が位置しています。
北緯40度付近の都市
北緯40度付近の都市

領域

日本の面積・東西南北端は次の通りです。
沖ノ鳥島(北小島)
沖ノ鳥島(北小島)

地形(地体構造、山地と平野)

日本列島と造山帯

日本列島は、環太平洋造山帯の期造山帯に位置します。
新期造山帯は、火山帯や地震帯とほぼ一致します
つまり、日本列島では火山や地震が多いと言えます。
災害というデメリットもありますが、温泉地熱発電という恩恵も得られます。
新期造山帯の分布
新期造山帯の分布
主な火山の分布
主な火山活動の分布
主な地震の分布
主な地震活動の分布

日本列島とプレートの配置

日本列島は、4枚のプレートが出会うまれな地域です。
太平洋側には、海洋プレートが大陸プレートの下に沈みこむせばまる境界があります。
日本列島付近のプレート
日本列島付近のプレート

海溝の形成

海洋プレートが沈みこむところにのみ海溝が形成されるため、日本列島の太平洋側には日本海溝が形成されています。

地震の発生

海溝付近ではプレートの歪みの力がたまります。
そのため、海溝付近では震源が深い地震が起きやすいです。

列島の形成

海洋プレートと大陸プレートの境には、日本列島のような弧状列島島弧)が形成されます。

火山の形成

海洋プレートは、ある程度まで沈みこむとマグマを発生させます。
このマグマが浮力で上昇し、地表付近に火山を形成します。
つまり、火山は海溝から少し離れたあたりに形成されることになります。
海溝側から大陸側に向かって、火山が噴出しはじめる線のことを火山前線火山フロント)と呼びます。
海洋上の狭まる境界
海洋上の狭まる境界
例えば、東北地方の場合は、火山前線の西側に火山が分布し、太平洋側には火山が分布しないということです。
火山前線(東北地方の例)
火山前線(東北地方の例)
火山前線が走る日本列島には多くの火山が分布しますが、四国には存在しません
火山は火山活動によって降灰による農業への被害をもたらしたりします。

北アメリカプレートとユーラシアプレートの境

北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界には、日本列島の中部地方を通過する大陥没帯フォッサマグナが位置します。
フォッサマグナの西縁は、断層帯が明瞭で、新潟県の糸魚川から諏訪湖を経て静岡市を結ぶ線にあたるため、糸魚川・静岡構造体と呼ばれています。
フォッサマグナ
「大きな溝」の意
後の火山噴出物などに覆われて、フォッサマグナの陥没地形は不明瞭
フォッサマグナの西は標高が高く、3000m級の日本アルプス(北から順に飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈)があります。
フォッサマグナと中央構造線
フォッサマグナと中央構造線

日本列島の構造体

構造線とは、大断層のうち、その両側で地質が全く異なるものを言います。

糸魚川・静岡構造体

東北日本と西南日本は糸魚川・静岡構造体で二分されています。

中央構造体

西南日本は中央構造体と呼ばれる断層帯で二分されています。
北側の内帯には丘陵や高原もしくは小規模の山地が分布し、南側の外帯には標高が比較的高く、V字谷が深く刻まれた山地・山脈が連なっています。
フォッサマグナと中央構造線
フォッサマグナと中央構造線
上:内帯、下:外帯(長篠露頭)
上:内帯、下:外帯(長篠露頭)
長篠露頭
長篠露頭

日本列島の山野河川

山地

日本の国土の約60%が山地です。
期造山帯のため、急峻な山脈・山地が多く、山麓には扇状地が多数発達しています。

平野

日本は山と雨が多いため、土砂が下流へ運ばれて、沖積平野(谷底平野・扇状地・三角州)が形成されます。

河川

勾配が急で長さが短いです。
日本列島の自然環境
山地 丘陵地 台地 低地 内水域等
230.331㎢ 44.337㎢ 41.471㎢ 51.963㎢ 9.232㎢
61.0% 11.8% 11.0% 13.8% 2.4%
河川の勾配
河川の勾配

日本列島と氷河地形

約2万年前の氷期には、日本にも山岳氷河が今以上に発達しています
例えば、北海道の日高山脈や日本アルプス(飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈)です。
現在は飛騨山脈に少しあるのみ

日本列島の気候

気候区分

国土の大半はCfaに属し、北海道や東北地方の一部がDfです。

四季

夏と冬で変化する季節風や付近の気団の影響をうけます。
4つの気団
4つの気団

低気圧と移動性高気圧が交互に通過します。
低気圧が日本海側にあるとき、太平洋側の高気圧から風が吹き、北アルプスを越えて日本海側にフェーン現象をもたらします。
この現象で雪解けの洪水や地滑り、そして大火事が発生したりします。

6~7月

北の寒冷・多湿な気団(オホーツク気団)と南の高温・多湿な気団(小笠原気団)が接触します。
接触面には梅雨前線(停滞前線の一種)ができ、接触面の西側(西日本地域)では集中豪雨が生じます。
やませ
オホーツク気団からは寒冷で湿った風であるやませが東北地方に吹きます。
これが長く吹くと冷害をもたらします。
やませ
やませ

小笠原気団が発達し、ここから南東季節風が吹きます。
この時期から秋にかけ、台風(熱帯低気圧)が小笠原気団の西側の縁に沿って襲来します。

東日本を中心に秋の長雨があります。

シベリア高気圧から北西季節風が吹きます。
寒冷なこの季節風は、日本海の海上で水を多く取り込み、日本海側に豪雪をもたらします。
そして、風は山脈を越え、乾いた風となって太平洋側に吹きます。
これらのことから、冬に日本海側は湿潤太平洋側は乾燥します。

日本列島の災害

災害と対策

これら災害に対しては、自治体ごとにハザードマップを作成し、防災・減災の徹底を図っています。