氷河地形
氷河
氷河とは?
氷河は、溶けずに残った積雪(万年雪)が自重で圧縮されてできた氷の塊で、岩盤を削りながらゆっくり動きます。
1年に数メートル程度の速度で低位へ移動
氷河の形成
氷河の種類
氷河には、次の2種類があります。
大陸氷河
*南極大陸
山岳氷河
*アルプス山脈(スイス)のアレッチ氷河
今日の大陸氷河
今日、大陸氷河は南極大陸とグリーンランドの2カ所のみです。
約2万年前(最終氷期)には、全陸地の約3分の1、特に高緯度地域が大陸氷河に覆われていました。
なお、カスピ海周辺や冬季に降水量が少ないシベリアは、氷河に覆われていません。
約2万年前(最終氷期)の大陸氷河
*中心は北極点
氷河地形
氷河が移動・融解する時、氷の下や側面の岩盤を削り、また、削ったものを運搬します。
このような働きで形成された地形を、氷河地形と総称します。
氷河地形には、主に次の5つがあります。
氷河地形
ホルン(ホーン)
マッターホルン(アルプス山脈)
カール
カール
カールの形成
モレーン
モレーン
氷河湖
氷河湖は、ヨーロッパや北アメリカ(代表例:五大湖)に多くみられます。
特にフィンランドには、大量の氷河湖が存在しています。
サイマー湖(フィンランド)
フィンランドの氷河湖
U字谷
U字谷
フィヨルド
この地形が沈水したものをフィヨルドと呼び、奥行きの深い細長い入り江になります。
スカンディナビア半島のソグネフィヨルドは長さ204㎞
フィヨルド
フィヨルドは、かつて大陸氷河に覆われた高緯度の、特に西岸部に多くみられます。
偏西風とフィヨルド
氷河地形の分布
フィヨルドでは、山脈や氷河から安定した淡水の供給があるため、サーモンやマスの管理・養殖が盛んにおこなわれています。
ノルウェーサーモンの養殖
乾燥地形
主な乾燥地形
乾燥気候には、植生がほぼない砂漠や、貴重な水に関連する地形が形成されます。
次のものが主な乾燥地形です。
- 砂漠
岩石砂漠・礫砂漠・砂砂漠に分類
砂漠の約9割は岩石砂漠
平坦のように見えるが、起伏も存在
- 外来河川
湿潤地域に源流があり、乾燥地域に流れ込んでいる河川
ナイル川(エジプト)、ティグリス川(イラク)、ユーフラテス川(イラク)など
- ワジ
降雨時のみ流水が見られる涸れ川
- オアシス
外来河川などにより、乾燥地域で局地的に水を得られる場所
- 塩湖
蒸発と濃縮により塩分濃度が高い湖沼
カスピ海・アラル海・死海・ウユニ塩湖など
カスピ海は沿岸5か国の利害から、現在は「海」と定義(湖なら資源を共同管理、海なら分割)
砂漠
岩石砂漠
砂砂漠
外来河川
外来河川などによって、乾燥地帯で局地的に水を得られる場所をオアシスと呼びます。
内陸河川
内陸の湖に注いだり、途中で水量が減少したりすることで、海まで達しない河川のこと
ナイル川・ティグリス川・ユーフラテス川
オアシス
ワジ
水のない乾季の間、ワジは交通路としても使われます。
白い部分が流水中のワジ
カルスト地形
サンゴ礁と石灰岩
石灰岩は、サンゴ礁が堆積して岩石化したものです。
サンゴ礁
石灰岩(和歌山県白崎海岸)
カルスト地形とは
石灰岩を含む地層が、二酸化炭素を含む雨水・地下水などに溶食されると、カルスト地形と総称される地形ができます。
この「カルスト」という名は、この地形が発達したスロベニアのカルスト地方に由来します。
石灰岩は水を加えると強固になる性質を持つため、漆喰やセメントに利用
カルスト地方
カルスト地形には、主に次のものがあります。
- 鍾乳洞
地中の石灰岩が溶食されてできた地下の空洞
- ドリーネ
溶食や鍾乳洞の落盤によってできたくぼ地で、特に最小規模のもの
- ウバーレ
ドリーネが拡大・連続してできた長さ1㎞程度のくぼ地
- ポリエ
ドリーネやウバーレが拡大・連続してできた大規模なくぼ地
- タワーカルスト
石灰岩の厚い層が高温多雨の気候のもとで溶食を受けてできた岩峰
カルスト地形
カルスト地形の付近には、採取した石灰岩を利用して、セメントの製造工場がよく立地します。
鍾乳洞
日本では、山口県の秋芳洞が有名です。
鍾乳洞
ドリーネ・ウバーレ・ポリエ
くぼ地の規模で呼称が異なります。
ドリーネ(山口県秋吉台)
タワーカルスト
中国のコイリン(桂林)が有名です。
タワーカルスト
地形図
カルスト地形の地形図では、凹地を表す地図記号(や)が確認できます。
地形図(山口県秋吉台)
*地理院地図