植生・土壌

表記について

植生

植生とは

植生とは、ある地域を覆う植物の集まりのことです。
また、森林・草原など、植物の生え方による景観も植生と言います。
植生の形成は、気候の影響が最も大きいが、地形や土壌なども関係します。

気候帯・気候区ごとの植生

気候区と植生
気候区と植生
気候帯・気候区 植生 樹種・その他
寒帯 ツンドラ ツンドラ 地衣類(菌・藻)、蘚苔類(コケ)
亜寒帯 亜寒帯湿潤
亜寒帯冬季少雨
針葉樹林(タイガ 針葉樹林(エゾマツ・トドマツなど)
温帯 西岸海洋性
温暖湿潤
温暖冬季少雨
地中海性
温帯林 針葉樹と広葉樹の混合林
・落葉広葉樹(ブナ・ナラなど)
・常緑広葉樹(シイ・クス・カシ)
硬葉樹林(オリーブ・コルクガシ)
乾燥帯 砂漠
ステップ
砂漠
ステップ
砂漠・有刺灌木(サボテン)
短草草原
熱帯 サバナ
熱帯雨林
サバナ
熱帯雨林
灌木(バオバブ・アカシア)と長草草原
熱帯雨林・常緑広葉樹


土壌

土壌とは

土壌とは、地表の岩石や堆積物が、地形や気候、植物などに影響され、長い時間をかけて変化した土のことです。
土壌は、大きく2種類に分けられます。
上記のほかに、細粒の砂などを材料とした黄土おうどレス)と言われる肥沃な土壌もあります。
例えば、中国のゴビ砂漠から風で運ばれて堆積したもの、北ドイツ平原のモレーンから飛来して堆積したものがあります。

成帯土壌

成帯土壌は、気候・植生の変化に対応して生成された土壌です。
気候区と土壌
気候区と土壌
名称 分布 説明
ツンドラ土 ツンドラ(ET) 灰褐色 泥炭を含むやせた酸性土
ポドゾル タイガ(Df北部・Dw) 灰白色 寒冷で有機物の分解が進まず有機酸が溜まり、また水の下方移動で化学成分がながれた、やせた強酸性土
褐色森林土 広葉樹林(Cfa・Cfb・Df南部) 褐色 腐植を含む肥沃な土
赤黄色土 やや熱帯 赤黄色 有機物が流れ、鉄とアルミニウムの酸化物が集積した酸性の土
ラトソル 熱帯雨林(Af・Aw・Am) 赤色 降雨で栄養分が流れ、鉄とアルミニウムの酸化物が残るやせた
鉱産資源のボーキサイトが分布
砂漠土 砂漠(BS) 淡赤色 塩分が多いアルカリ性土
栗色土 ステップ(BS) 栗色 弱アルカリ性土
チェルノーゼム ステップ(BS) 黒色 ウクライナ~西シベリア南部にかけて分布する肥沃な土壌
小麦の栽培
プレーリー ステップ(Cfa・BS) 黒色 北アメリカ~グレートプレーンズなどに分布する肥沃な土壌
小麦の栽培

間帯土壌

間帯かんたい土壌は、気候・植生の影響よりも岩石・地形に制約されて生成された土壌です。
代表的な間帯土壌は、玄武岩が風化してできた肥沃な土壌です。
インドデカン高原に分布するレグールブラジルブラジル高原に分布するテラローシャです。
レグールは、黒色で綿花栽培に適した土壌で、テラローシャは赤紫色でコーヒー栽培に適した土壌です。
名称 分布 説明
テラロッサ 地中海周辺 赤褐色 石灰岩の風化した肥沃な
テラローシャ ブラジル高原 赤紫色 玄武岩質の火山岩の風化した肥沃な
コーヒーの栽培
レグール デカン高原 黒色 玄武岩の風化した肥沃な
綿花の栽培
レグール
レグール
テラローシャ
テラローシャ

その他

間帯土壌のなかでも別枠のものが、レス(黄土おうど)と火山灰土です。
レスは、砂漠の細砂や氷河によって削られた細かな微細砂が、風によって運ばれて堆積した肥沃な土壌です。
中国の黄土(ホワンツー)高原では、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠から飛来したものが堆積し、ヨーロッパ中部やアメリカ合衆国の北部では、氷期に大陸氷河の末端付近(モレーン付近)から飛来したものが堆積しています。
名称 分布 説明
黄土おうどレス 黄河流域 黄色 ゴビ砂漠から風積した肥沃な
黄土おうどレス ヨーロッパ
南北アメリカ
黄色 大陸氷河に削られた岩石の微細砂が風積した肥沃な
火山灰土 火山地帯 赤色 火山灰の風化した土で、関東ロームや九州南部のシラスが代表的