集落
集落とは
人が集まり居住するところを集落と言います。
集落のうち、第1次産業が経済基盤のものを村落、第2・3次産業が経済基盤のものを都市と呼びます。
厳密な区別は国によって異なり、日本では人口規模で区別
集落の立地
集落の立地には、次の2つの条件があります。
自然条件
人は水が得やすいところに集まり居住します。
特に扇状地では、谷からの水が地下に伏流する前に得やすい扇頂と、伏流した水が湧出する扇端に集落が立地します。
扇状地の集落の立地(赤枠)
滋賀県高島市
*GoogleEarthより
ただし、扇状地も含め沖積平野では水害が心配されます。
集落は、氾濫原の自然堤防のような微高地、河岸段丘の段丘面に立地します。
自然堤防の集落の立地
青森県岩木川
*GoogleEarthより
河岸段丘の集落の立地(赤枠)
新潟県津南町
*GoogleEarthより
社会条件
人は、その歴史・経済発展のなかで、外敵から防御しやすいところや物資の交換しやすいところに居住しました。
山地と平地との物資の交換のために、河川が山地から平地に出る谷口に発達した集落などがあります。
村落
村落の形態
村落は、村落の形や家の並び方で次のように形態分けされます。
形態名 |
説明 |
集村 |
塊村 |
家が不規則に並び、塊状になった村落 水や日照りを求めて自然発生的に形成 |
路村 |
家が開拓道路など狭い道に沿って並んで形成 街村に比べて人々が道路に依存せず、農業や漁業に従事 日本の新田集落、ドイツなどヨーロッパの林地村で見られる |
街村 |
市場・宿場・寺社を結ぶ街道での商業や行政の機能を求めて、家が道に沿って形成 路村に比べて人々が道路に依存して生活 |
列村 |
家が自然堤防や扇状地の扇端などに沿って並んだ村落 |
円村 |
広場や境界を中心に家が配置された村落 ヨーロッパで見られ、日本では見られない |
散村 |
【アメリカの例】 ホームステッド法による西部開拓で形成された、タウンシップ制の村落
【北海道の例】 明治時代、アメリカのタウンシップ制を模倣して建設された屯田兵村
【富山県砺波
平野の例】 風を防ぐための屋敷林が家を囲む
家がまばらに形成された理由には次の諸説があります。
- 農家が周囲の土地を開拓して米作りをしたため
- 春先のフェーン現象による火災延焼を防止するため
|
塊村
塊村(ドイツ ミュンヘン郊外)
*GoogleEarthより
路村
路村(埼玉県三富新田)
*GoogleEarthより
路村(ドイツ バインベルク)
*GoogleEarthより
街村
街村(長野県妻籠宿)
街村(長野県妻籠宿)
*GoogleEarthより
列村
列村(新潟県新潟市)
*GoogleEarthより
円村
円村(フランス ブラム)
*GoogleEarthより
散村
散村(アメリカ カンザス州)
*GoogleEarthより
散村(1916~1917年 北海道東旭川 屯田兵村)
*今昔マップ on the webより作成
散村(富山県砺波平野)
日本の村落の発達
古代
班田収授法で施行した条里制に基づき、集落が形成されました。
その名残が現在の奈良盆地などに見られます。
条里制
碁盤状の田地で、東西の列を「1条、2条、3条…」、南北の列を「1里、2里、3里…」と管理
条里制
奈良県大和郡山市
*出典:国土地理院ウェブサイト(
地理院地図)
なお、古代の都市である「平城京」「平安京」は唐の長安に倣っており、碁盤上の区画で管理されました。
平城京
中世
堺・博多など自治権を獲得した都市が登場しました。
近世(江戸時代)
新田開発で新たな村落が成立しました。
「新田」「新開」「籠」などを地名に含む場所にその名残が見られます。
近代
大規模農業経営が可能な碁盤目状・短冊状の散村が成立しました。
例:旭川・札幌などの屯田兵村