人口爆発
人口の推移
現在(2020年現在)、約77億人です(2011年時点で70億人を突破)。
1600年の時点で約5億人なので、この数百年間で人口は急激に増加したことになります。
人口の急激増加を人口爆発と呼んでいます。
増加の背景
人口爆発の背景は、医学・薬学の発達や衛生面の向上です。
つまり、人が死ににくくなったのです。
この背景は、先進国から生じました。
かつての発展途上国では、高い出生率の割に、自然災害や感染症、食料不足で乳児死亡率が高く、それほど人口が増えませんでした。
しかし、1950年以降(第二次世界大戦後)、先進国やWHOからの医療援助や食料供給で、乳児死亡率が低下しました。
これにより、発展途上国で人口爆発に進みました。
先進国と発展途上国の人口割合
発展途上国での人口爆発は、多くの問題を起こしました。
人口爆発の背景は、あくまでも先進国からの援助であり、発展途上国の経済発展を伴っていません。
援助が追いつかないほど人が増えれば、土地不足や食料不足になってしまうのです。
各地域の人口
地域別の人口(2020年)
地域 |
人(億人) |
世界 |
78.0 |
アフリカ |
13.5 |
アジア |
46.2 |
ヨーロッパ |
7.4 |
ラテンアメリカ |
4.4 |
アングロアメリカ |
6.0 |
オセアニア |
0.4 |
アジア・アフリカ
人口の地域分布は、アジア・アフリカに偏ります。
アジアは、多くの国が1940~50年代に独立し、発展とそれに伴う人口増加を経つつあります。
一方、アフリカは1960年代以降に独立国が増え、今人口を伸ばし始めつつある段階です。
現在人口が最も多く分布するのはアジアですが、人口増加率はアフリカの方が高くなります。
次の表で、人口の上位15位までにアジアの国が多いことも確認しておきましょう。
世界の人口1位は中国、人口2位はインドです(2018年時点)。
世界の人口1位~15位(2018年 )
国名 |
人(億人) |
世界 |
76.3 |
中国 |
14.2 |
インド |
13.0 |
アメリカ合衆国 |
3.3 |
インドネシア |
2.6 |
ブラジル |
2.1 |
パキスタン |
2.1 |
ナイジェリア |
1.9 |
バングラデシュ |
1.6 |
ロシア |
1.4 |
日本 |
1.3 |
メキシコ |
1.3 |
フィリピン |
1.1 |
エジプト |
1.0 |
エチオピア |
1.0 |
ベトナム |
0.9 |
*アジアのみマーカー付
出生率・死亡率・自然増加率
地域別の出生率・死亡率・自然増加率(2015~20年の平均値)
地域 |
出生率(‰) |
死亡率(‰) |
自然増加率(‰) |
世界 |
18.5 |
7.5 |
10.9 |
アフリカ |
33.6 |
8.2 |
25.4 |
アジア |
16.4 |
6.9 |
9.5 |
ヨーロッパ |
10.4 |
11.0 |
-0.6 |
ラテンアメリカ |
16.5 |
6.3 |
10.2 |
アングロアメリカ |
11.8 |
8.6 |
3.2 |
オセアニア |
16.7 |
6.8 |
9.9 |
出生率
出生率とは、人口1000人に対する出生数の割合です(単位は‰)。
出生率は、発展途上国ほど高く、先進国ほど低くなります。
発展途上国では、子どもも重要な労働力になるため、また、社会保障制度が未整備で老後に子どもに頼る必要があるため、出生率が高くなります。
先進国では、教育などの養育費が高いため、女性の高学歴化・社会進出の活発化による晩婚化のため、出生率が低くなります。
ただし、フランスや北欧諸国のスウェーデンなどは比較的早い時期に育児政策を打ち出し、出生率の向上に成功しています。
一方で対応に遅れる日本・ドイツ・イタリアは出生率が低いままです。
少子の枢軸
少子化に悩む日本・ドイツ・イタリアが第二次世界大戦で枢軸国と呼ばれたことからの皮肉
合計特殊出生率
合計特殊出生率は、一人の女性が生涯何人の子供を産むのかを推計したものです。
この値が2.1(厳密には2.07~2.08)を超えれば人口増加と考えます。
2.0でないのは、性比(男女の生まれる比率)が1:1でないため
先進国のほとんどが、2.1を下回ります。
日本の合計特殊出生率は、1947~49年頃では4.3を超えていましたが、2016年では1.44と低くなっています。
日本の合計特殊出生率
多くの発展途上国は、2.1を上回ります。
ただし、中国はかつての一人っ子政策の効果で2017年には1.68と低くなっています(1965年は6.39)。
一人っ子政策は2015年廃止
東アジアの出生率は、一人っ子政策を採っていた中国の影響で低い
死亡率
死亡率とは、人口1000人に対する死亡数の割合です(単位は‰)。
死亡率の特徴は、出生率のように発展途上国・先進国のどちらかに高低が偏るものではありません。
死亡率は、次の2つの数値に大きく左右されます。
- 乳児死亡率(1歳未満の死亡率)
- 高齢者の死亡率(65歳以上の死亡率)
乳児死亡率
乳児は抵抗力が弱く、悪い衛生環境や栄養不足で病気にかかりやすくなります。
医療や衛生が整った先進国では、乳児死亡率がほとんど0‰に近い値になりますが、発展途上国ではそうはいきません。
乳児死亡率は、発展途上国で高くなり、その値も50‰を超えるほどです(アフリカ中部の国々では70~80‰)。
高齢者の死亡率
先進国では高齢化が進み、人口に占める高齢者の割合は高いです。
その高い割合を占める人々が持病や寿命で亡くなるため、高齢者の死亡率は、先進国の多いヨーロッパ・アングロアメリカで高くなります。
自然増加率
人口は、人の生死で増減します。
生死による増減を自然増加率と呼び、次の計算で求められます。
自然増加率=出生率-死亡率
自然増加率は、発展途上国で高く、先進国で低くなります。
他の増加率-社会増加率
人口は、生死以外だけでなく、他の地域からの流入、あるいは、他の地域への流出でも増減します。
これを社会増加率と呼び、次の計算で求められます。
社会増加率=流入率-流出率
国際的な人の流入は、移民によって建国された歴史をもつカナダ・アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドで多く見られます。
結果、社会増加率が高くなります。
この流入は、自然増加率の上昇にも繋がります。
そもそも移り住むのは、体力や気力の多く、これから出産を迎えるような若い世代です。
従って、先進国が混じるアングロアメリカ(カナダ・アメリカ)やオセアニアで出生率がある程度高くなります。