概要
占領政策で思想・言論に対する国家の抑圧が取り除かれ、従来の価値観・権威は否定されました。かわって、個人の解放や民主化という新しい理念が、占領軍の手で広められました。さらに、アメリカ的な生活様式や大衆文化が、急激な勢いで流れ込んできました。これらの新しい考え・文化は日本で次第に受け入れられていきました。
占領期の文化
学術の発展
天皇制に関するタブーも解かれ、また、マルクス主義が急速に復活しました。
これらを通して、人文・社会科学の研究に新しい分野が開かれました。
1949年、あらゆる分野の学者の代表会議日本学術会議を設置
人文・社会・自然科学
考古学:岩宿遺跡・登呂遺跡の発掘
政治学:丸山真男が、西欧近代との比較で日本の後進性を批判
経済史学:大塚久雄が、いわゆる大塚史学を構築
法社会学:川島武宜
が、近代社会における前近代的制度の意味を考察
物理学:1949年、湯川秀樹が日本人初のノーベル賞を受賞、1965年、朝永
振一郎が日本人2人目のノーベル賞を受賞
湯川秀樹
文化財の保護
1949年1月26日、法隆寺金堂壁画が焼損しました。
文化財保護のため、1950年、文化財保護法が制定されました。
文化財保護法
同年、北山の鹿苑寺金閣の放火事件が起き、違反適用第1号
法隆寺金堂
法隆寺金堂壁画
文化勲章
学問・芸術の奨励に制定された文化勲章が、1946年に復活されました。
文学
常識や既成の観念に挑戦する作品、自身の戦争体験を表現した作品が出ました。
一方、米軍や原爆に関する表現は、GHQのプレス=コードで統制されました。
代表作家
太宰治
『斜陽』で、既成道徳に対する三者三様の生き方を表現
坂口安吾
『白痴』で、戦争による破壊と生の本質を描写
大岡昇平
『俘虜記』で、米軍の捕虜になった経験を表現
太宰治
その他
「
リンゴの唄」
敗戦後の暗い世相の中で、爆発的にヒットした並木路子の曲
美空ひばり
自他共に歌謡界の女王と認める存在となった歌手
黒澤明
1951年、映画『羅生門』を監督し、国際映画祭金獅子賞を受賞
リンゴの唄
美空ひばり
『羅生門』のポスター