平安の貴族

表記について
概要
何故藤原氏は摂政・関白になることを望んだのでしょうか。これについては、天皇が担当する政務の内容に答えがあります。藤原氏は、摂政・関白として天皇のもつ人事権を掌握し、高位の官職を身内で固めていきました。人事権によって、経済的基盤は高位の官職の収入で強化され、また、中・下級貴族は肩身の狭い思いをさせられました。

摂関政治

天皇の政務

天皇の政務は、次の3つです。

天皇の政務
(番号は案件処理の順)

北家台頭の背景

外戚
母方の親戚
外祖父
外戚のうち、祖父にあたる人物
北家の者は娘を天皇に嫁がせ、生まれた子(次代の天皇)に対する発言力を得ていきました。
外孫
外祖父から見て、外戚関係で結ばれた孫

外戚と外祖父

摂政と関白

摂政
幼少の天皇に代わり、天皇の政務を執行する担当役
関白
成人した天皇の補佐役で、実質摂政と同じ
北家の者は天皇の外戚として、氏長者うじのちょうじゃや摂政・関白の地位を獲得しました。
天皇の政務の代行、特に人事権の掌握(上記「天皇の政務③」)は絶大な効果をもちました。
摂関家は高位の官職を独占し、その高収入を経済的基盤にしました。
氏長者
氏族のなかで位階第一の者が就任、氏族を管理・統率
摂関家
北家のなかでも、特に摂政・関白を出す家柄

藤原道長

摂関家に取り入る者

人事権を掌握した摂関家に、良い官職を得ようと取り入る者が続出しました。
中・下級貴族は、官職のなかでも経済的に有利な国司になりたがりました。

国司
私財を出して儀式や寺社造営を引き受け、代わりに官職を得る成功じょうごう や、収入の多い官職に再任される重任が盛んになりました。


平安の貴族社会

衣食住

服装

束帯
貴族男性の正装で、簡略化した日常着が直衣のうし
女房装束
女性の正装で、十二単じゅうにひとえと俗称
水干
一般男性や武士の服装

束帯

女房装束

水干

食事

日に2回の食事で、仏教の影響もあって獣肉を避けました
室町時代以降、日に3回の食事が一般化

住宅

寝殿造
貴族住宅に用いられた、白木造しらきづくり檜皮葺ひわだぶきなど日本風の建築様式

寝殿造

慣習

元服
10~15歳の間におこなわれる男性の成人式
裳着もぎ
10~15歳の間におこなわれる女性の成人式
物忌
変わったことが起こると、吉凶を占い、一定期間特定の建物で謹慎すること
方違
忌むべき方角をさけるため、他の方角で一泊してから目的地に向かうこと
年中ねんじゅう行事
毎年同じ時期にひらかれる神事・遊興(花見や七夕)・人事異動の総称