明治新政府の成立
新政府の始動
五箇条の誓文(1868.3)
新政府の基本方針を示す(明治天皇が神に誓約する形式=天皇親政の強調)
五榜の掲示(1868.3)
1868年3月発布、庶民の心得を示す
内容
五倫の遵守、強訴・逃散の禁止、キリスト教の禁止(1873年から黙認)
政体書(1868.閏4)
1868年閏4月発布、新政府の政治組織を示す
内容:
太政官(中央政府機構)
天皇中心の古代律令国家官制の復活
改元
1868年9月、元号を「明治」とする、一世一元の制を制定
中央集権体制の整備
版籍奉還(1869)
藩主が土地(版)と人民(籍)を朝廷に返上
旧藩主(大名)は旧領地の知藩事に任命され、家禄が支給される
旧藩主の実質的温存、徴税権・軍事権は各藩に所属
廃藩置県(1871)
薩摩・長州・
土佐の3藩で御親兵を組織
藩を廃止し、府・県を設置、知藩事を罷免
府知事・県令を中央政府より派遣
意義
幕藩体制解体、権力が中央政府に集中
国内の政治的統一が完成
政治組織の整備―太政官制の変遷―
1869年(版籍奉還後)
二官六省に再編成、二官=太政官・神祇官
*祭政一致の方針で、神祇官が太政官の上
1871年(廃藩置県後)
三院制となる(正院・左院・右院)
近代的軍制の確立
徴兵制度の確立
徴兵告諭(1872)
満20歳以上の男性に3年間の兵役義務
*「血税」の文言をめぐって一揆発生
警察制度
内務省設置(1873)
警察組織を統括
初代内務卿は大久保利通
東京に警視庁設置
諸政策の改革
封建的身分制度の撤廃
江戸時代の身分制を廃止し、身分の再編を実施
3族籍
藩主・公家⇒華族
藩士・旧幕臣⇒士族
百姓・町人⇒平民
新たな族籍に基づき壬申戸籍を編成(1872)
平民
苗字許可、華族・士族との結婚の自由、移住・職業選択の自由
士族の特権処分
背景
廃藩置県後も、政府支出の約30%が秩禄(家禄+賞典禄)
国家財政圧迫
秩禄処分
金禄公債証書を支給、華族・士族への秩禄支給を廃止(1873)
すべての支給者に秩禄5~14年分の額の公債を与える
士族の特権剥奪
廃刀令(1876)・秩禄処分(1876)
士族は全ての特権を失って困窮
政府は士族授産で対応(事業資金の貸付、北海道開拓事業など)
成功例は少なく、没落する士族が多数=士族の反乱の一因
*士族の商法
公債を元手に慣れない商売に手を出して失敗
地租改正の流れ
封建的土地制度の撤廃
田畑勝手作りの許可(1871)
桑などの商品作物の自由栽培を許可
田畑永代売買の禁止令の解禁(1872)
土地売買の許可
地券の発行(1872)
地価の決定、壬申地券の発行(1872)
土地所有権者の確定
知行権の否定=封建的な土地領有制の解体
地租改正条例の公布(1873)
地租
地租改正によって定められた土地に対する固定税
|
改正前(江戸時代) |
地租改正後 |
課税基準 |
収穫高 不安定
|
地価 一定
|
納税法 |
現物納(主に米) |
金納 *小作料は現物納 |
納税者 |
耕作者(年貢負担者) |
土地所有者(地券所有者) |
税率 |
藩ごとに不統一 |
地価の3%に統一 *のちに2.5%に削減 |
*農民が利用していた山林・原野の入会地は所有権を証明できないと官有地に編入
地租改正反対一揆
地租の税率が3%から2.5%に引き下げ(1877)