宋代の文化

表記について
概要
宋代の文化は、これまでの中国王朝の文化とは少し異なる特徴を見せました。儒学から派生しつつも大義名分論などの理論をもつ宋学(朱子学)が創始されたり、紀伝体であった歴史の記述が編年体で記されたりしました。

宋代の文化

磁器

宋代に磁器は重要な貿易品として輸出され、竜泉や景徳鎮 などが代表的産地となりました。
また、宋の磁器は朝鮮半島へも輸出され、当時の磁器に大きな影響を与えました。

儒学

北宋の周敦頤しゅうとんいが始めた宋学は、儒学の経典けいてんを哲学的に読み込み、宇宙の原理や人間の本質などを探究しました
南宋の朱熹しゅき 朱子)は、経典の中でも『大学』『中庸』『論語』『孟子』の四書を重視して、宋学を大成しました
このように宋学は、朱熹(朱子)によって大成されたので朱子学 とも呼ばれます。
朱熹(朱子)は、華夷や身分の別を重視する 大義名分論 を説きました。
宋代以降の支配階級は、概ね地主で、儒学の古典に精通して官僚となる士大夫と呼ばれる人々でした
大義名分論は、これら士大夫に受け入れられました。

歴史学

資治通鑑しじつがん
司馬光 が著し、歴史を通じて大義名分を明らかにしようとした編年体の 通史
編年体
年代を追って出来事を述べていく記述方式
紀伝体
君主に関する記述「本紀」と、政治家や武将など君主以外の重要人物に関する記述の「列伝」を中心に構成する記述方式

名文家

宋代には、欧陽脩おうようしゅう 蘇軾そしょく らの散文(古文)の代表的な名文家(文筆家)が活躍しました。

美術

宮廷画家を中心とする写実的な院体画、士大夫による水墨を用いた文人画 が描かれました。

代表作品

桃鳩図ももはとず
徽宗きそう の作で、写実や装飾性を重んずる院体画の 代表作
桃鳩図
『桃鳩図』

庶民文化

小説・雑劇や音曲に合わせてうたう詩が作られました。

宗教

金で 、道教の改革を試みた王重陽が、儒学・仏教・道教を調和した 道教の一派全真教 を始めました。

技術の発明

活版印刷術の発明、羅針盤・火薬の実用化
イスラーム世界を通じてヨーロッパに伝わりました。