中世からルネサンスへ

表記について
概要
中世の西ヨーロッパでは、ローマ=カトリック教会の影響が強く、人々は神に仕える生き方をしていました。中世末期、教会の権威が後退し、また、ペストの大流行で絶望感が広がりました。そのようななかで、人々は古代ギリシア・ローマの文化を模範に、人間の個性や生と死、そして自由な生き方を改めて求めようとしました。このような古典文化を見直して役立てようと、14~16世紀、ヨーロッパでルネサンスと呼ばれる学問上・芸術上の革新運動が起こりました。

ルネサンス

ルネサンスとは

中世末期の西ヨーロッパで、人間性の自由・解放を求め、各人の個性を尊重しようとする文化運動が起こりました。
14~16世紀、ヨーロッパ各地に広がったこの運動を、再生の意であるルネサンスと表現します。
ルネサンスは、1453年に滅亡したビザンツ帝国から多くの学者が亡命したイタリアで始まりました。
特にイタリアのフィレンツェ は、毛織物 工業で栄え、メディチ家 が芸術家を保護してルネサンスの中心となりました。
ルネサンス期の学者や芸術家の多くは、権力者の保護のもとで活動しました。
保護者の存在上、ルネサンスは既存の政治・教会・社会体制を真正面から批判できませんでした。

ルネサンスの基盤-人文主義

ルネサンスでは、ビザンツ帝国やイスラーム圏を介して伝えられたギリシア・ローマの 古典文化が重視されました。
古典文化から人間らしい生き方を追及する精神を人文主義ヒューマニズム)と呼びます。

ルネサンスの発露

文人

ダンテ
フィレンツェを中心とするトスカナ地方の日常語で 神曲』を著述
ボッカチオ
人間社会の喜怒哀楽を描く『デカメロン』を著述
チョーサー
「英詩の父」と称され、未完に終わった大作『カンタベリ物語 』を著述
エラスムス
ネーデルラント出身の人文主義者で、『愚神礼賛ぐしんらいさん 』を著して堕落した教会の権威を風刺
マキァヴェリ
『君主論』を書き、政治を宗教から切り離した政治観を主張
ラブレー
15、16世紀のフランス=ルネサンスを代表する作家で、巨人を登場人物とする『ガルガンチュワ物語』などを著述
シェークスピア
エリザベス1世の治世に活躍した文人で 、16世紀当時の社会状況を反映した戯曲『ハムレット』『ヴェニスの商人』などを著述

芸術家

ミケランジェロ
『ダヴィデ像』を製作
レオナルド=ダ=ヴィンチ
遠近法を利用して『最後の晩餐ばんさん 』を描画
ラファエロ
『聖母子像』『アテネの学堂』が有名
デューラー
深い精神性を感じさせる、重く沈んだ画風が特徴
最後の晩餐
最後の晩餐

科学者

コペルニクス
古来の天動説を疑い、『天球の回転について』を著して地動説 を提唱
グーテンベルク
15世紀に 活版印刷術を改良・実用化