概要
世界史の中世とそれ以降を分ける出来事には、ルネサンスや宗教改革などがあげられます。しかし、これらは西洋の局所的な出来事であり、より普遍的な「科学革命」が適切だという声もあります。17世紀、自然界を合理的に理解しようとする傾向が生じ、法律・政治・経済などに大きな影響を与えました。
科学・思想
自然科学
17世紀、ヨーロッパでは自然界の研究が進み、自然科学が急速に発展する科学革命が生じました。
自然科学者
ニュートン
万有引力の法則
を発見し、近代物理学の基礎を築いた人物
フランシス=ベーコン
実験と観察を重視し、帰納法
(経験論
)を唱えたイギリスの人物
ロジャー=ベーコンとの混乱に注意
デカルト
数学的に真理を探究する演繹法
(合理論)を唱えたフランスの人物
自然法思想
自然界を合理的に把握する傾向は、政治思想に影響を与えました。
人の理性・本性に根ざし、あらゆる時代・社会に通じる法を自然法と呼びます。
人は自然法の下に自由・平等などの自然権をもち、自然権を守るために契約(社会契約)を結んで国家を作るとされました。
自然状態
国家のような自然権を守る権力が存在しない状態
自然法思想家
グロティウス
『海洋自由論
』『戦争と平和の法
』を著して自然法に基づく国際法を構想し、「自然法・国際法の父」と呼ばれる人物
ホッブズ
自然状態を「万人の万人に対する闘争」であると形容し、社会契約で自然権を譲渡した先である国家主権の絶対性を唱えた人物
ロック
『市民政府二論
(統治論二篇)』を著し、名誉革命
を支持した人物
政府に対する抵抗権が人民にあると主張
後のアメリカ独立宣言に影響
カント
経験論と合理論を総合し、ドイツ観念論の基礎を築いた人物
啓蒙思想
ルネサンス期以降、理性を重んじ、社会の古い偏見を批判する啓蒙思想が生まれました。
啓蒙思想家
モンテスキュー
『法の精神
』を著して、三権分立の原理を説いた人物
ヴォルテール
フリードリヒ2世
と親交を結んだ人物
『哲学書簡
』を著して、旧制度(アンシャン=レジーム)下の教会や神学の独善を批判
ルソー
『人間不平等起源論
』を著し、人民主権論を主張した人物
ディドロ
・
ダランベール
ら
『百科全書
』を編纂し、啓蒙思想を集成した人物ら
経済領域の啓蒙思想家
啓蒙思想が経済領域に及び、重農主義が唱えられました。
重農主義は、重商主義を批判し、経済の自由放任主義を主張しました。
ケネー
重商主義を批判し、『経済表
』を著して重農
主義を唱えた人物
テュルゴー
ルイ16世
の財務総監で、重農主義政策を採り、自由放任主義を支持
した人物
アダム=スミス
『諸国民の富
(国富論)』を著し、重商主義を批判して古典派経済学の基礎を築いた人物
宮廷文化
17世紀-バロック様式
17世紀、ルネサンスの調和・完結性への反動として、豪壮華麗・流動性を特色とするバロック様式が生まれました。
バロック様式は、君主の権威の誇示に使われ、宮廷生活と強く結びつきました。
建築
ヴェルサイユ宮殿
フランスのルイ14世
がパリ郊外に建設したバロック
様式の建物
絵画
ルーベンス
バロック絵画の代表者でフランドルの画家
古典主義の文学
モリエール
フランスの古典主義の文学者で、喜劇作家として活躍
アカデミー=フランセーズ
(
フランス学士院)
ルイ13世時代の宰相リシュリュー
が創設した学士院
音楽
バッハ
啓蒙専制君主として知られるフリードリヒ2世に宮廷に招かれた
古典
派の音楽家
18世紀-ロココ様式
18世紀、バロックの後を受け、繊細優美を特色とする美術様式ロココが広がりました。
ロココは、貴族や富裕市民に好まれました。
建築
サンスーシ宮殿
プロイセンのフリードリヒ2世
がベルリン郊に建設したロココ
様式の建物
絵画
市民文化
市民の活動の影響
17~18世紀、市民の社会的役割が高まると、彼らの好みを反映した文化・作品が出現しました。
絵画
レンブラント
経済的に繁栄していたオランダ市民の肖像画を描き、『夜警』などの作品を生んだ人物
文学
貿易・植民活動の影響
大航海時代以降、海外からヨーロッパに砂糖・コーヒーなどが輸入されました。
当初貴族に消費されたこれら商品が、次第に市民にも広まり、生活文化を形づくりました。
18世紀、ロンドンのコーヒーハウス、パリのカフェなどが登場しました。
市民や貴族の社交の場であったサロンやカフェでの議論のなかで、新しい思想が生まれました。
また、コーヒーハウスには新聞が備えられ、情報交換の場となりました
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文学
デフォー
近代小説の始まりであり、植民地経営の物語ともいわれている『ロビンソン=クルーソー』を著した人物
スウィフト
当時のヨーロッパ世界の価値観を風刺した『ガリヴァー旅行記』を著した人物