アングロアメリカ地誌-概説

表記について

地形

北アメリカ大陸は、ヨーロッパから入植したイギリスの主要民族アングロサクソン人が広く開拓したことから、アングロアメリカとも呼ばれます。
アングロアメリカの地形
アングロアメリカの地形

大地形

北東部

カナダ楯状地など安定陸塊が広く分布します。
鉱産資源の鉄鉱石が産出し、特にラブラドル高原には多く埋蔵されています。

東部

古期造山帯のアパラチア山脈が北東から南西にかけて走ります。
山脈西側で鉱産資源の石炭が産出します。
なお、アパラチア山脈東側の山麓には、滝線たきせんが見られ、水力を利用した製粉や綿工業がかつて盛んでした。
フィラデルフィア・ボルティモア・ワシントンD.C.などは、滝線に沿って発達した都市(滝線都市)に起源をもっています。
滝線
急流が一直線上に並んで分布する地形
滝線都市
滝線都市

西部

環太平洋造山帯に属する新期造山帯が分布します。
ロッキー山脈など険しい山脈が太平洋海岸に沿って走るため、アングロアメリカは西高東低の形をしています。

中央部

ロッキー山脈東麓は東にかけて緩傾斜の大平原が広がり、グレートプレーンズと呼ばれています。
グレーンプレーンズを過ぎ、降水量が多い地域に入ると温帯草原のプレーリーが広がります。

西高東低

次の図の間の断面は、下図のようになります。
アングロアメリカの断面図(地図)
アングロアメリカの断面
太平洋岸からシエラネヴァダ山脈~ロッキー山脈と標高が高い地域が続きます。
ロッキー山脈東麓には、緩傾斜のグレーンプレーンズが広がります。
東部には、侵食が進んだ古期造山帯のアパラチア山脈が位置します。

ずれる境界

カリフォルニア州はずれる境界のサンアンドレアス断層が縦断します。
付近では地震が多発します
サンアンドレアス断層
サンアンドレアス断層
*青線がずれる境界

河川

ミシシッピ川

長い流域に大規模な構造平野が形成され、河口には鳥趾状ちょうしじょう三角州が発達しています。
ミシシッピ川の河口がほぼ西経90度、北緯30度と覚えておくと、地図の位置関係の把握に役立つ
ミシシッピ川の河口
ミシシッピ川の河口

セントローレンス川

五大湖の1つスペリオル湖から流出し、大西洋に注ぐ川です。
カナダとアメリカ合衆国の国境の一部をなし、河口にはエスチュアリーが発達しています。

コロンビア川

アメリカ合衆国北西部の太平洋に注ぐ河川です。
ダムが建設され、水力発電・灌漑に利用されています。

コロラド川

アメリカ合衆国北西部、ロッキー山脈からカリフォルニア湾に注ぐ河川です。
侵食で大峡谷のグランドキャニオンを形成しています。
総合地域開発としてフーバーダムが建設され、水力発電・灌漑に利用されています。

五大湖

アングロアメリカの北部は、氷期に広く氷河で覆われました。
覆われた地域にはやせ地が分布し、五大湖のような氷河湖など氷河地形が見られます。
氷河の最大範囲
氷河の最大範囲

気候

アングロアメリカの地形
アングロアメリカの地形

カナダ・アラスカ州(アメリカ合衆国)

アングロアメリカのうち、北緯40~50度より北側は亜寒帯湿潤気候(Df)が広がります。
北極海沿岸には、ツンドラ気候(ET)が分布します。

アメリカ合衆国

アングロアメリカのうち、アメリカ合衆国の西経100度付近は、年降水量500mmです。

西経100度西側

太平洋側の山脈に遮られて乾燥します。
ロッキー山脈東麓は東にかけて緩傾斜の大平原が広がり、グレートプレーンズと呼ばれています。

西経100度東側

温帯草原のプレーリーが広がります。
肥沃なプレーリー土が分布します。
グレートプレーンズとプレーリー
グレートプレーンズとプレーリー
北緯40度の北側の気候
亜寒帯湿潤気候(Df
北緯40度の南側の気候
温暖湿潤気候(Cfa)・西岸海洋性気候(Cfb
フロリダ半島
熱帯モンスーン気候Am

アングロアメリカ西岸

アラスカ湾岸~カナダ西岸

亜寒帯海流は、西経150度付近で、北流するアラスカ海流と南流するカリフォルニア海流に分かれます。
アラスカ湾岸~カナダ西岸は、暖流のアラスカ海流と偏西風の影響で高緯度でもそれほど冷え込まず、気温の年較差が小さくなります。
西岸海洋性気候、もしくは統計データによって地中海性気候になります。
アングロアメリカのCfbの分布
アングロアメリカのCfbの分布
カナダ西岸の都市バンクーバーと東岸の都市セントジョンズの雨温図を比較すると、暖流の影響がよくわかります。
各都市の位置はページの下方で確認
バンクーバーの雨温図
バンクーバーの雨温図(Cs)
*統計データによってはCfb
セントジョンズの雨温図
セントジョンズの雨温図(Df)

カリフォルニア州(アメリカ合衆国)

アメリカ合衆国西岸は、寒流のカリフォルニア海流が南下するため、上昇気流の発生が弱く、夏場もやや涼しい気候になります。
さらにカリフォルニア州付近は、夏季に中緯度高圧帯に覆われて乾燥します。
結果、夏季がやや涼しい地中海性気候(Cs)になります。

各都市の雨温図

アングロアメリカの都市
アングロアメリカの都市
バロー
バローは、アメリカ合衆国アラスカ州の最北部にある都市です。
北極海に面し、氷点下を下回る日が続きます。
バローの雨温図
バローの雨温図(ET)
サンフランシスコ
サンフランシスコは、アメリカ合衆国カリフォルニア州の都市です。
夏季は中緯度高圧帯によって乾燥します。
サンフランシスコの雨温図
サンフランシスコの雨温図(Cs)
ラスヴェガス
ラスヴェガスは、アメリカ合衆国ネバダ州の都市です。
アメリカ大陸西岸に沿って寒流のカリフォルニア海流が南下するため、カリフォルニア半島上昇気流が発生しにくく乾燥します。
加えて雨陰(山脈風下が乾燥すること)のため、砂漠気候になります。
ラスヴェガスの雨温図
ラスヴェガスの雨温図(BW)
ニューオーリンズ
ニューオーリンズは、アメリカ合衆国ルイジアナ州の都市で、ミシシッピ川の河口に位置します。
もとはフランスの植民地で、現在もその影響が残っています。
気候は、暖流のメキシコ湾流の影響で、年間を通して温暖で多雨になります。
ニューオーリンズの雨温図
ニューオーリンズの雨温図(Cfa)
マイアミ
マイアミは、アメリカ合衆国フロリダ州の都市です。
年間を通して気温が高く、降水量も多い気候ですが、弱い乾季があります。
マイアミの雨温図
マイアミの雨温図(Am)
ケベック
ケベックは、カナダのケベック州の州都です。
都市の歴史は古く、1608年にフランス人植民者が建設しました。
カナダがイギリス領、そして独立した後もフランス文化が根付いています。
ケベックの雨温図
ケベックの雨温図(Df)

国家群

北米自由貿易協定

1994年、 北米自由貿易協定  NAFTA )結成
アメリカ・メキシコ・カナダが、EUに対抗して結んだ自由貿易協定
2020年、USMCAに移行
アメリカの輸出相手国
国名%(2020年)
カナダ17.8
メキシコ14.9
中国8.7
日本4.5
イギリス4.1
アメリカの輸入相手国
国名%(2020年)
中国19
メキシコ13.7
カナダ11.5
日本5.1
ドイツ4.9
カナダの輸出相手国
国名%(2020年)
アメリカ73.4
中国4.8
イギリス3.8
日本2.4
メキシコ1.2
カナダの輸入相手国
国名%(2020年)
アメリカ48.7
中国14.1
メキシコ5.5
ドイツ3.2
日本2.5
メキシコの輸出相手国
国名%(2020年)
アメリカ79.1
カナダ2.6
中国1.9
ドイツ1.5
日本0.8
メキシコの輸入相手国
国名%(2020年)
アメリカ43.9
中国19.2
韓国3.8
ドイツ3.6
日本3.6