工業
工業の変化
第二次世界大戦後、日本の工業の中心は、軽工業から重化学工業へ変わりました。
やがてエネルギー消費の軽減のために、加工組立型(輸送用機械・電気機械)になりました。
今日では先端技術産業も発達しています。
第二次世界大戦前-軽工業中心
戦前の日本は、繊維工業などの軽工業が中心で、生糸や綿織物を輸出していました。
高度経済成長期-重化学工業
鉄鋼業・石油化学工業などの重化学工業が成長しました。
太平洋・瀬戸内海沿いに、工業が盛んな場所(工業地帯・工業地域)が形成され、太平洋ベルトと呼ばれるようになりました
古くから発展していた京浜工業地帯・中京工業地帯・阪神工業地帯・北九州工業地帯のうち、近年生産額が低い北九州工業地帯を除いた3地帯を、三大工業地帯と呼びます。
太平洋ベルト
1970年代以降-加工組立型工業
資源の枯渇や原油価格の高騰を受け、資源を大量に消費する重化学工業が停滞しました。
輸送用機械(自動車など)や電気機械などのエネルギー消費が比較的少ない加工組立型産業が発達するようになりました。
近年
エレクトロニクス産業などの先端技術産業も発達しました。
工業出荷額の変化
時代を追うごとに、軽工業の割合が減り、重化学工業の割合が増えます。
工業地域の変化
三大工業地帯(京浜工業地帯・中京工業地帯・阪神工業地帯)が割合が依然として大きいです。
なかでも中京工業地帯は、割合が以前よりも増え、製造品出荷額が日本一です。
これは中京工業地帯に自動車産業と航空機産業が立地しているためです。
日本の工業の立地
セメント
原料指向型で、石灰岩が採れる山口県・福岡県・埼玉県に多く立地します。
セメント
パルプ・製紙工場
原料指向型で、木材・水が得られる北海道や静岡県、四国に多く立地します。
パルプ・製紙工場
製鉄所
かつては原料指向型の立地で、例えば北九州の八幡製鉄所は筑豊炭田の石炭に支えられていました。
近年は原料輸入に適した臨海指向型の立地に変わり、交通の便がよい太平洋ベルトに立地します。
製鉄所
石油化学コンビナート
臨海指向型で、茨城県鹿島・千葉県市原・三重県四日市・岡山県倉敷に多く立地します。
石油化学コンビナート
IC工場
小型・軽量で付加価値が高いため、輸送コストが高い飛行機を使用できます。
臨空港指向で、地方の空港や空港に運ぶために高速道路付近に立地します。
IC工場
自動車組立工場
異なる工場で作った部品を組んで完成させるため、多くの工場が集まって立地する集積指向型です。
工場が集まる場所は、日本では各メーカーの創業地と強く結びついています。
自動車組立工場
海外進出
近年、日本企業の海外進出が進んでいます。
海外に進出する理由は次の3つです。
日本企業の海外進出先
貿易摩擦の緩和
1980年代
日本の自動車輸出をめぐり、アメリカとの貿易摩擦が生じました。
貿易摩擦を解消するために、日本は現地法人を設立し、現地生産をおこないました。
人件費の削減
より安価な労働力を求めて海外に生産拠点を設置します。
1970~80年代
アジアNIEsへ進出しました。
1980~90年代
タイ・マレーシアへ進出しました。
1990年代以降
中国・ベトナムなどへ進出しました。
市場の確保
生産・販売を進めて商品が普及すると、日本の狭い国内市場は飽和します。
商品がまだ普及していない国で新たな販路を得ようと。企業は海外進出します。
急成長する東南アジアや中国の市場を狙った海外進出が進みました。
産業の空洞化
企業の海外進出は産業の空洞化を引き起こします。
産業の空洞化
資源・エネルギー
資源の自給
石灰石
石灰石は、日本が自給できる数少ない鉱産資源です。
大分・山口に多く分布しています。
資源の輸入
鉄鉱石
石炭
原油
天然ガス
エネルギー消費の変化
1960年代
エネルギー革命
エネルギー消費の中心が石炭から石油へ転換したこと
1970年代
1973年・1979年、石油危機
石油偏重を見直し、石炭・原子力の併用へ
2011年
東日本大震災
原子力発電所の事故の影響で、原子力発電所の稼働率が低下
発電量不足を補うために、石炭の消費量が先進国のなかでも増加