熱帯
3つの気候区
気候帯が寒帯(E)・乾燥帯(B)のどちらでもない場合、最寒月平均気温が18℃以上なら熱帯(A)になります。
熱帯(A)は、ここから3つの気候区に分かれます。
降水型がfならAf(ただし最少雨月降水量60mm未満ならAm)、降水型がwならAwです。
- Af
熱帯雨林気候
- Am
弱い乾季のある熱帯雨林気候
- Aw
サバナ気候
Af(熱帯雨林気候)
熱帯雨林気候の分布
特色・成因
赤道付近で太陽光の入射角が高いため、年中高温です。
また、太陽光が当たる日中は気温が著しく高くなるため、日中の気温の日較差が大きくなります。
そして、赤道低圧帯の影響で年中多雨になります。
上昇気流が発生しやすく、スコールという対流性降雨の豪雨が午後に見られることも特色です。
赤道低圧帯(熱帯収束帯)
スコール
植生
多種類の常緑広葉樹による密林を形成します。
南アメリカのアマゾン川流域の密林をセルバ、これ以外の地域の密林をジャングルと呼びます。
セルバ
セルバ
土壌
土壌は、雨に栄養分が流されて鉄とアルミニウムの水酸化物が多く残されます。
このような赤く酸性の土壌をラトソルと言います。
この土壌は農業に適していません。
ラトソル
生活
焼畑農業やプランテーション農業が営まれます。
特に熱帯雨林気候のプランテーション農業は、天然ゴム・カカオ・油やし・サトウキビ・バナナをよく栽培します。
高温多湿な環境のため、建物を高床することで通気性をよくしています。
高床式住居
分布・都市
Afが該当する主な都市
代表都市の雨温図・ハイサーグラフ
雨温図(シンガポール)
ハイサーグラフ(シンガポール)
Am(熱帯モンスーン気候)
熱帯モンスーン気候の分布
特色・成因
Af(熱帯雨林気候)とAw(サバナ気候)の中間型で、1~3ヶ月の弱い乾季があります。
Afのうち、最少雨月降水量が60mm未満の月がひと月でもあれば、弱い乾季がある熱帯雨林気候、いわゆる熱帯モンスーン(Am)と判別できます。
Awは冬に乾燥する気候区
植生
Af(熱帯雨林気候)と同様ですが、落葉樹林が混じります。
土壌
ラトソルと呼ばれる、赤く酸性で農業に適さない土壌です。
生活
焼畑農業やプランテーション農業が営まれます。
特にAm(熱帯モンスーン気候)のプランテーション農業は、天然ゴム・カカオ・油やし・サトウキビ・バナナをよく栽培します。
高温多湿な環境のため、建物を高床することで通気性をよくしています。
分布・都市
Amが該当する主な都市
代表都市の雨温図・ハイサーグラフ
雨温図(マイアミ)
ハイサーグラフ(マイアミ)
Aw(サバナ気候)
サバナ気候の分布
特色・成因
Af(熱帯雨林気候)の周辺部に発達します。
夏は赤道低圧帯に入り雨季に、冬は中緯度高圧(亜熱帯高圧)帯に入り乾季になります。
雨季と乾季の区別は大変はっきりしています。
成因は、上記の通り低圧帯・高圧帯の移動です。
「気候要素」のところで見た図をもう一度見てみましょう。
大気大循環
赤道低圧帯・中緯度高圧帯・高緯度高圧帯は季節ごとに南北に移動します。
これは、地軸のずれにより、太陽の見かけ上の軌道が赤道から南北に移動するためです。
下図を見ると、太陽光が最も当たる部分は、夏至では赤道よりも北に、冬至では赤道よりも南に来ています。
地軸の傾き
太陽光が最も当たる部分に赤道低圧帯は生じますので、北半球が夏・冬の時、配置は次のように異なります。
北半球夏(南半球冬)の配置
北半球冬(南半球夏)の配置
植生
バオバブやアカシアなど背の低い木からなる密度の低い林(疎林)、そして、長草草原が見られます。
これら疎林と長草草原の広がる地帯をサバナと呼びます。
バオバブ
アカシア
各地の長草草原の名称
長草草原は地域によって呼び名が異なります。
リャノ
カンポ
土壌
土壌は、Af(熱帯雨林気候)・Am(弱い乾季のある熱帯雨林気候)と同じくラトソルと呼ばれる、赤く酸性で農業に適さない土壌です。
ラトソルが多い地域で乾燥した時期があると、表層近くで鉄やアルミニウムが集積して固結し、ラテライトが形成されます。
サバナ気候はこの条件をよく満たすため、ラテライトが多く形成されます。
ラテライトのうち、酸化アルミニウムを多く含む鉱石をボーキサイトと呼び、アルミニウムの原料になります。
生活
焼畑農業やプランテーション農業が営まれます。
特にAw(サバナ気候)のプランテーション農業は、綿花・コーヒーをよく栽培します。
高温多湿な環境のため、建物を高床することで通気性をよくしています。
分布・都市
Awが該当する主な都市
代表都市の雨温図・ハイサーグラフ
ダーウィンは南半球の都市なので、6~8月が冬にあたります。
雨温図(ダーウィン)
ハイサーグラフ(ダーウィン)