国家
国家とは
日本のような国(国家)は、次の3つをもつ組織です。
植民地から独立国へ
1900年代半ばまで、世界の半分以上の国が、主権をもたない不完全な状態「植民地」でした。
第二次世界大戦後、1950年代までにアジア諸国が、1960年代にアフリカ諸国が次々と主権を確立し、国として再始動していきました。
2002年時点で、世界の国家は196ヵ国にのぼっています(日本と日本が承認している国を合わせて)。
領域
領土・領海・領空
領土
国の主権が認められる陸地を領土と言います。
陸地と海の境界は干潮時の海岸線
領海
国の周辺海域のうち、主権が認められる範囲を領海、鉱産資源や水産資源の独占が許される範囲を排他的経済水域(略称:EEZ)と言います。
1982年、国連海洋法条約が調印され、これらの範囲が決まりました。
領海:沿岸(最低潮位線)から12海里以内
排他的経済水域:領海を含む200海里
海里
1海里=約1.852㎞で、地球1周4万㎞÷360度÷60分(つまり経度1分)から算出
排他的経済水域
日本の排他的経済水域
排他的経済水域に関して、言い回しを少し変えて確認しておきましょう。
- 他国の船舶は航行できる
- 他国は海底通信ケーブルを敷設できる
- 他国は油田など鉱山資源の開発ができない(鉱山資源の独占)
- 他国は漁船の操業ができない(水産資源の独占)
領空
領空は、領土・領海の上空でかつ大気圏内です。
国境
国境とは
国境とは、読んで字の如く主権がおよぶ範囲(=国)の境界のことです。
国境には、次の2つがあります。
- 自然的国境
山脈・河川など自然のものを境界に利用
- 人為的国境
人の手による経線・緯線や築造物を境界に利用
自然的境界
自然的境界は、歴史が長いヨーロッパに多く見られます。
例えば、スペインとフランスの境になるピレネー山脈、ノルウェーとスウェーデンの境になるスカンディナヴィア山脈があげられます。
自然的国境その1
自然的国境その2
ヨーロッパ以外では、カナダとアメリカの境になる五大湖、アメリカとメキシコの境になるリオグランデ川があげられます。
自然的国境その3
人為的国境
人為的国境は、万里の長城などの人工物や経線・緯線を利用した国境です。
現在、人為的国境は経線・緯線を利用した国境(数理的国境)がほとんどです。
いずれも一の位まで覚える必要はありませんが、丸めた数値を覚えておき、地図の位置把握に利用しましょう。
経度
西経141度:アメリカ(アラスカ州)とカナダ
東経25度:エジプトとリビア
東経141度:インドネシアとパプアニューギニア
人為的国境その1
人為的国境その2
人為的国境その3
緯度
北緯49度:アメリカとカナダ
北緯22度:エジプトとスーダン
人為的国境その4
人為的国境その5
自然的国境と人為的国境のまとめ
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国境 |
境界線 |
国 |
自然的国境 |
山脈 |
ピレネー |
フランス・スペイン |
スカンディナビア |
ノルウェー・スウェーデン |
アンデス |
チリ・アルゼンチン |
河川 |
リオグランデ |
アメリカ・メキシコ |
オーデル |
ドイツ・ポーランド |
メコン |
タイ・ラオス |
湖沼 |
五大湖 |
アメリカ・カナダ |
チチカカ湖 |
ペルー・ボリビア |
人為的国境 |
緯度 |
49°N |
アメリカ・カナダ |
22°N |
エジプト・スーダン |
経度 |
141°W |
アメリカ(アラスカ州)・カナダ |
25°E |
エジプト・リビア |
141°E |
インドネシア・パプアニューギニア |
国土面積
寒帯・乾燥帯では人口密度が低くなります。
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国名 |
面積 (万㎢)(2019年) |
人口 (万人)(2020年) |
人口密度 (人/k㎡) |
1 |
ロシア |
1709.8 |
14,593 |
9 |
2 |
カナダ |
998.5 |
3,774 |
4 |
3 |
アメリカ |
983.4 |
33,100 |
34 |
4 |
中国 |
960 |
143,932 |
150 |
5 |
ブラジル |
851.6 |
21,256 |
25 |
6 |
オーストラリア |
769.2 |
2,550 |
3 |
7 |
インド |
328.7 |
138,000 |
420 |
8 |
アルゼンチン |
279.6 |
4,520 |
16 |
9 |
アルジェリア |
238.2 |
4,385 |
18 |
10 |
コンゴ |
234.5 |
8,956 |
38 |
61 |
日本 |
37.8 |
12,648 |
335 |
国家群
主な国家群
国は、政治や経済、時には軍事の分野で利害が一致する他国と、グループを作ります。
このような国々のグループを国家群と呼びます。
名称 |
目的・現状 |
国際連合 (UN) |
国際平和と安全の維持、国際協力の達成。
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ヨーロッパ連合 (EU) |
EEC(ヨーロッパ経済共同体、1958年~)、EC(ヨーロッパ共同体、1967年~)を経て1993年に発足。 ヨーロッパの政治・経済・通貨統合を目指す。
2020年、イギリスが正式離脱。
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ヨーロッパ自由貿易連合 (EFTA) |
1960年、EECに対抗し、イギリスが中心となって結成。 ノルウェー・スイス・アイスランド・リヒテンシュタインが加盟(イギリスは1973年に離脱)。
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北米自由貿易協定 (NAFTA) |
1994年、EC(EU)に対抗して発効された自由貿易協定。 アメリカ・カナダ・メキシコが加盟。 2020年に新協定(USMCA)に移行。
|
東南アジア諸国連合 (ASEAN) |
地域協力・相互援助の組織(もとは軍事同盟的)。 1967年、タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・フィリピンで発足。のちにブルネイ・ベトナム・ラオス・ミャンマー・カンボジアも加盟。
|
南米南部共同市場 (MERCOSUR) |
1995年、南米の域内関税の相互撤廃を目指して発足。 ブラジル・アルゼンチン・パラグアイ・ウルグアイ・ボリビアが加盟(2017年、ベネズエラは資格停止)。
|
アフリカ連合 (AU) |
2002年、EU型の政治・経済統合を目指し、アフリカ統一機構(OAU)が改称。
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石油輸出国機構 (OPEC) |
石油輸出国が産油国の利益を守るために結成。 原油生産・価格安定を協議するが利害対立も発生。
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独立国家共同体 (CIS) |
旧ソビエト連邦を構成する9ヵ国で結成。 EU型の政治・経済・軍事の協力を図る。
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経済協力開発機構 (OECD) |
発展途上国を援助し、国際経済の発展を図る組織。 この援助が政府開発援助(ODA)。 先進国とそれに準ずる国が加盟。
先進国: 日本、アメリカ、カナダ、EU諸国、オーストラリア、ニュージーランドなど
準ずる国: トルコ、韓国、メキシコ、イスラエル、チリなど
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経済ブロックの比較
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面積 (万㎢) |
人口 (2020年)(億人) |
GDP (億ドル) |
EU |
413 |
4.5 |
156,265 |
USMCA (NAFTA) |
2,178 |
5 |
244,385 |
ASEAN |
449 |
6.7 |
30,992 |
AU |
2,998 |
13.4 |
23,771 |
CIS |
2,097 |
2.4 |
20,928 |
MERCOSUR |
1,392 |
3.1 |
27,904 |
日本 |
38 |
1.3 |
50,818 |
ブロックごとのGDPの大小は、次のような貿易の問題を解く時にも使います。
X~Zは、EU・NAFTA・ASEAN間の輸出額・輸入額の模式図です。
X~Zのうち、NAFTAには世界最大の赤字国である
アメリカが含まれるので、輸入額がいずれも輸出額を上回るXがNAFTAとわかります。
GDPの大小は貿易額の大小にあらわれるため、YがEU、ZがASEANです。