自給的農業

表記について

自給的農業

自給的農業とは

自給的農業は、販売を主な目的とせず、自分や家族で消費するためにおこなう農業を指します。

焼畑農業

特色

帯(A)の土壌は、降雨で栄養分が流れ、鉄とアルミニウムの酸化物が残るやせた土壌ラトソルです。
ラトソル
ラトソル
土壌の栄養分がないため、ラトソルが分布する地域では森林の伐採・火入れをおこない、得られた灰を肥料にします。
作物を育てて地力が衰えると、場所を移してまた森林の伐採・火入れをおこないます。
このような農業を焼畑農業と呼びます。
焼畑農業
焼畑農業
焼畑農業の土地の耕作は、ハックと呼ばれる木棒を用いて地面に穴を開け、その中に種子をまきます(ハック耕)。
ハックの進化した形が、日本のくわだとも言われています。
ハックの使用
ハックの使用

作物

キャッサバ・タロイモ・ヤムイモ・とうもろこしを生産します。
キャッサバ
タピオカの原料
キャッサバ(右)とタピオカでん粉(左)
キャッサバ(右)とタピオカでん粉(左)
タロイモ
タロイモ
ヤムイモ
ヤムイモ

分布

主に帯(A)に分布し、アフリカ中部、アマゾン流域、ニューギニア、インドシナ半島の山地などが該当します。

オアシス農業(灌漑農業の一種)

特色

オアシス農業は、降雨がわずかな乾燥地域で、湧水オアシス外来河川・地下水路を利用しておこなう集約的農業です。
灌漑農業の一種ですが、乾燥地域でおこなわれるものを特にオアシス農業と呼びます。
営まれる地域では、水利権をもつ地主とその者による小作農民の支配がよく存在しています。

作物

ナイル川流域

小麦・とうもろこし・綿花・ナツメヤシを生産します。
1970年に建設されたアスワンハイダムは、年間を通した灌漑を可能にし、ナイル川下流域での生産が発展しました。
綿花
綿花
ナツメヤシ
ナツメヤシ

ディグリス・ユーフラテス川流域

小麦・とうもろこし・綿花・ナツメヤシを生産します。
ナイル川・ティグリス川・ユーフラテス川
ナイル川・ティグリス川・ユーフラテス川

地下水路の別称

オアシス農業に利用する地下水路は、イランではカナート、北アフリカではフォガラと呼ばれています。
カナート
カナート
カナート(地上)
カナート(地上)

遊牧

特色

草と水を求めて家畜とともに定期的に移動を繰り返します。
近年、各国政府の政策で、遊牧を営む遊牧民族の定住化が進み、伝統的な生活は消えつつあります。

地域別の家畜

乾燥地域

ユーラシア・アフリカ大陸の砂漠やステップ(短草草原)で遊牧がおこなわれています。
家畜は、中央アジアから北アフリカにかけての砂漠やステップでは羊・ヤギ・ラクダ、モンゴルでは馬が多く飼われています。
モンゴルでは、簡単な組み立て式のテントに住み、家畜とともに移動する人々が現在も見られます。

寒冷地域

ツンドラ気候やタイガの一部で遊牧がおこなわれています。
家畜は、トナカイが飼われています。
サーミとトナカイ
サーミとトナカイ

高地

チベット高原やアンデス山脈などの高地でおこなわれています。
家畜は、チベット高原ではヤク、アンデス山脈ではリャマアルパカが飼われています。
ヤク
ヤク
リャマ
リャマ
アルパカ
アルパカ

集約的稲作農業

特色

農村の人口密度が高いため、狭い土地に多くの労働力があてられ(集約的)、高い土地生産性を可能にしています。
反面、労働生産性は小さい傾向にあります。
土地生産性
単位面積あたりの生産量の多さで、肥料・労働力の投下で上昇
労働生産性
1人あたりの労働によって得られる生産量の多さで、機械化・栽培技術の進歩で上昇

作物

世界の米の約90%を生産しています。
基本的には自給的ですが、東南アジア大陸部のタイベトナムからは余剰米の輸出も盛んにおこなわれています。

分布

季節風の影響を受け、特に夏に多雨高温になる東南アジアから中国南部の沖積平野や丘陵の棚田で営まれます。

集約的畑作農業

特色

農村の人口密度が高いため、狭い土地に多くの労働力があてられ(集約的)、高い土地生産性を可能にしています。
反面、労働生産性は小さい傾向にあります。

作物

分布

アジアのなかでも、年降水量1000mm未満の中国北部(華北・東北)、インドのデカン高原・パンジャブ地方が該当します。
中国の農業
中国の農業
南アジアの農業
南アジアの農業